2010UJ11月号SBR感想 『#64 LESSON5⑤』

| 2011.03. 4 (Fri) 2:09 AM | [SBR感想] | ←前■TOP■次→ |
突きつけられた
選択…

ジョニィの回答とは――!?

 

前回まで
ジャイロの意思を継ぎ、伝説の「騎兵の回転」に到達したジョニィ。その威力は大統領とD4Cを圧倒。無限の回転から逃れられない事を悟った大統領は、別次元からジャイロを連れてくる事を条件に、交渉を持ちかけるが!?

表紙

ズタボロのジョニィの背後に、クッキリめのジャイロのシャドウ。やっぱり、「あの方」のようにも見える。無限と有限の対比にも映る。傍に立つ。故にスタンド(霊波紋)!

スタンドって守護霊のようなものなんだから、死んだら霊がそのままスタンドになる、なんてケースもあったりしちゃったりなんかして。それはまるで、ドレス化メイ様のCROSS ROADのよう。もしくはゾンビ屋れい子とか。



本編

前回、大統領に説得され決断を迫られたジョニィ。大統領の言を、いやファニー・ヴァレンタインという人物を信じるか否かの決断にジョニィが下した結論は


ジョニィ:「信じるよ」


ジョニィ自身の劣等感と大統領の合理主義から考えれば、大統領の説得は実に足るものだったように思います。大統領の目的、利害関係と安全の確認、志のプレゼン。それぞれで大統領の目的は確認できたし、性格や人物背景も伝え、こと合理的な大統領だからこそ、その理詰めの説得には力がありました。
「オレナンカドーセ」モードに足を突っ込んでいたジョニィにとっては、信じるに足る、いや彼の目的を邪魔してはいけないというレベルに感じたのかもしれません。

それを受け、クールに装いつつ仄かにドヤ顔ニュアンスが香りたつ大統領の表情。



「ありがとう」   /   「チョロいぜ」


どちらの台詞もそれなりにハマりそうな表情ってドラマやサスペンスでは基本かもしれないけど、描くのって難しそう。


そう言って、土中から何やら掘り起こすジョニィ。それは大統領の拳銃でした。


ジョニィ:「その銃を試しに拾ってみろ」


この拳銃は、ジャイロにとどめを刺した、まさに凶器。
和解の前に、そんな銃を大統領の前へと出すジョニィの真意は、あと『1%』の信頼。

この銃は平行世界から持ってきた(とジョニィは言ってますが)、あるいは基本世界の銃かもしれません。いずれにしろ、大統領自身が他の平行世界から持ってきた同一の銃を持っていたら、破壊の後消滅してしまうのが原理原則。
もしくは、もっと単純に、ジャイロを撃った銃を差し出す事によって期待される大統領のリアクションを窺いたかったのかもしれません。(まあ、大統領は自身の行動は正しいと信じて行ったと名言しているので、狼狽などはしないでしょうが)

どちらにしても、これは所謂踏み絵。リトマス試験紙というわけです。



いやね、ここでジョニィが言った1%。これ、すごくいい。残り1%じゃあない。99%信じた上での残り1%じゃあなく、100%信じた上の、あと『1%』。似ているようで、まったく違う。
ジョニィはもう信じてる。というか、大統領を信じたいとまで思ってる。ジャイロが戻ってくるなら(利己的なものじゃあなく、なんて言えばいいんだろうねコレ。贖罪に近いのかな、うーん。)なおのこと。大統領の理念も、理解はできた。その上での、あと『1%』。最後の背中押しですね。自分が提示した条件なんて、楽勝でクリアできるはず。むしろ超えてほしい。そんな、願いにも似た最後の条件。101%。グッド。

シーン的には、大統領の高尚な演説に対する物理的な裏付けという見方が濃厚なんですけど、ぼく的にはやっぱりジョニィの『納得』を得るための要素という意味合いが強い気がするなあ。ぶっちゃけ何でもよかったと思うんですよね。大統領が用心を重ねて別の銃持って来てたらアウトなわけだし、これでお前の悪意は見抜けるぜ、どや!っていうわけでもない気がする。


そんな大統領の真意を探る指示薬となった拳銃。
大統領のリアクションや如何に。




大統領:「我が心と行動に一点の曇りなし………!」
大統領:「全てが『正義』だ」




拾い上げようとして一旦は屈んだ身体を起こし、ジョニィと面と向かう大統領の背中には拳銃のふくらみが―!


やっぱり拳銃持ってました大統領。

だけども、これが裏切りや騙し討ちのためだったのかというと、それが100%だとは言い切れませんね。ホントに護身用だったのかもしれないし、念のためだったのかもしれない。ただ、完全敗北宣言をしてて敵意がないことを前提に説得にあたってたという前後の状況からすると、何を言っても言い訳にしかならなそう。たぶん、大統領もそう思ったんだと思う。真意はどっちにしても、銃を持ってきているという事実は、ジョニィの欲しい「あと『1%』」に成り得ない。信頼とはそういうものですよね。悪意の有無は別にして、大統領としてはあらゆる選択肢を考慮した結果の、合理的な判断に基づいたうえでの所持だったのだろうけども。そこに大統領自身の納得があったからこそ、銃を持っていた事に後悔なんてものはないんでしょう。我が心と行動に一点の曇りなし………! 大統領もまた自身の納得のために突き進んだお方でした。

一気に対決ムードが張り詰め、そして己が持つ矛を向け合う二人。拳銃とD4Cの同時攻撃を繰り出す大統領と、哀しげな表情でタスクを撃つジョニィが印象的。
大統領の銃弾はジョニィの腹部に命中し、ジョニィのタスクは大統領の首に着弾。そのダメージがD4Cにまで到達しているのが見所、かと思ったのだけど、今までもそうだったかな。騎兵回転だからD4Cにまで到達したのだと思ったのだけど、今まで本体のダメージってD4Cに通ってたっけか。本体がリニューアルされて傷が治るんだっけかな。とりあえずジョニィも馬乗ってねえし蹴られてもいないので、現状はただの黄金回転なんでしょうね。なんだ、ただの黄金回転て。

お互い初弾が命中しているのにもかかわらず、続けざまに打ち合う二人。ガンマンっぽい。西部劇っぽい。ピースメーカーっぽくはない。

撃ち合いの末は、全弾を心臓近辺にまとめきったジョニィが勝利しました。やっぱ、引力かなんかで拳銃がくっついちゃった分、大統領は狙いがつけにくかったんでしょうかね。騎兵回転の後遺症も健在だったろうし。



遂に、決着。


「おいジョニィ…」

「ジョニィ…こっちだ」

「こっちだぜ オレはこっちへ… 進むぜ……」






「そうゆう事なら……」
「そうゆう事でいいんだ…」
「オレの本名は…」

「約束したよな………」
「誰にも言うなよ」

「じゃあな……」
「……元気でな」




グッとくんな……たまんねえですな……。
「それでいい」とか正解を出す風じゃあないあたりが、またいい。

そして、親友への別れの言葉をはっきりと口にするジョニィ。
なるようにしかならない現実を、納得した二人の様子が、実にいい。


「すまない………」

「すまなかった………」

「信じたかった」
「本当に…大統領を信じたかった」

「さようなら ジャイロ」

「………さようなら」



この言葉の意味は、あんな事テストしなかったら大統領が銃を持っていたとしても何も問題にならず、和解できていたかもしれない。その事に対してのものなのでしょう。そうだったかもしれないけれど、ジョニィ自身が『納得』するためならば致し方のない事だったのでしょう。




スパァァァン!

と、余韻を演出にしっかりとトドメを刺すジョニィ。ヒュー!
大統領&D4Cが崩れ落ちても、騎兵回転はその運動を続けて彼らの残骸を、誓いのハンカチもろとも地中へ埋めていくのでした。



何もなくなった荒野に、寂しさが漂いまくる。
堪えきれなくなったジョニィの嗚咽が響く様が哀しすぎる。

あとに残ったのは、ジョニィとルーシー、完全体となった遺体と老愛馬スローダンサー、そして主を失ったヴァルキリー。勝者なき勝利…のアオリと共に、To be continued

出典) 『STEEL BALL RUN』 荒木飛呂彦/ウルトラジャンプ・集英社

ブラボー…おお…ブラボー! 最初ブラボタンにしようと思ったけど、なんかやらしいからやめたんだぜ

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