2010UJ09月号SBR感想 『#62 LESSON5③』

| 2010.12.30 (Thu) 4:25 AM | [SBR感想] | ←前■TOP■次→ |
LOOK AHEAD.

 

前号まで
偶然の要素で大統領に敗れたジャイロの遺志を継ぎ、伝説の「騎兵の回転」に到達したジョニィ。その威力は凄まじく、大統領とD4Cを圧倒する。だが、無限の回転から逃れる術を必死で探る大統領は、まだ諦めておらず…!?

表紙

『LOOK AHEAD.』のアオリとともに、こちらを見据えるジャイロとジョニィの姿。このアオリは、本エピソードで投げかけられる問いに対してのアンサー。たぶん。



本編

異世界で無限生き埋め地獄に遭っている大統領を尻目に、基本世界のジョニィは戻ってくるであろう大統領を待ち伏せ待機。戻ってきたはいいけど、馬の力を得られなくなった現状をどうするつもりなのか。進化スタンドが発言してるから、もういつでもどこでも騎兵回転撃てるのだろうか。それか、騎兵回転はスタンドを進化させるのみの役割だったとか。やっぱそうなんでしょうかねー、でないとジョニィはこんなに落ち着いてないと思うし。さりげなく「ヴァレンタイン」と呼び捨てになってる点も自信の表れなのではなかろうか。

そんな大統領は何度も何度も生き埋められております。大統領自身は身体をチェンジして若返っているけど、D4Cにはそのダメージは残っているんですよね、見た目上。なのに本体には影響がないというのは、老化の後遺症は解けたのでしょうか。激しくどうでもいいことですが、D4Cのツノがなくなった結果、大統領本体は脱毛しました。ということはあのツノは髪の毛扱いだったことになります。耳ではなく。なるほど、本体・スタンド、どちらをとってもトレードマークというべき部位でしたよ。それがD4Cでは復活してないのに本体は健在というのは何か釈然としません。スタンドが本体というケースはアヌビス神でありましたが、あれは憑依、寄生に近いので「能力の一端」から来ているD4Cはどう解釈すればよいのか。そもそも、大統領以外にスイッチする事はできるのか。まームリでしょうな。とはいえ、スタンドだけがボロボロ、という描写はレッチリでもされているので、魂へのダメージということで良いのかもしれません。

D4Cの身体を蝕んでいる騎兵回転の後遺症ですが、なんと細胞レベルで回転し影響していることが判明。最小構成物質の回転が物事を構築しているという点では、ちょっと超ひも理論ぽくもあるかも。そんなことよりも、大統領が悲惨なことになってます。生き埋めの苦しさが如実に伝わってくるような、そんな表情してる。



もう、土の味はたくさんだッ!


回転の運動エネルギーもいつかは途切れるものと考え、ひたすら次元移動を繰り返す(そのたびに死んでる)大統領。泣きそうになりながらも(ていうか、ちょっと泣いてる)希望を探して移動、移動。そしてようやく巡ってきた街中の世界。DIOばりに、とは言わないまでも車輪の音を確かにとらえた大統領。これを待っていたッ!!

自力で離れなれないなら、車に乗ればいいじゃない。


なんかもっと抜本的な解決方法かと思ったのですが、ずいぶんと力技でした大統領。D4Cを飛ばして馬車内へ乗車。でもこれあれでしょう、ジョースターの系譜であるジョニィだから、「ここは満員だぜ」とかテレポートして先回りしてるんでしょう?(そんなことはない)

大統領は密閉された馬車に乗って力ずくで射程外へ逃れるという心算のようですが、一般的な力学を超越した力(C・ダイヤモンドの『直す』力など)に物理力で対抗できるとは残念ながら思えません…。対抗できるのは、同じくエニグマのような力。論理力とでもいうべきか。『能力』で働きかけているんだから、力の大小ではないという話でもありそう。
当初は回転による重力の影響下でまるでラップに包まれたように全身をひっぱられていた大統領ですが、一定処理からその負荷から解除、射程距離外への離脱に成功したと思われたのも束の間、回転の力は大統領の身体を超えて馬車全体に影響する始末。もうガッカリですよ大統領。再び穴の中へブチ込まれ、絶望とともにこのエネルギーの性質に認めたくない仮説が脳裏を過ぎります。

「無限なのか………まさか無限なのか…?」


黄金長方形の軌跡を描く回転は無限エネルギーへの回転であり、伝説の騎兵エネルギーが合わさることでそのエネルギーは重力に作用し次元を突きぬけるものとなりました。騎兵エネルギーは付加効果増強と影響範囲を広げる働きをしたといえますが、そもそもの無限性は黄金回転の時点であったのかもしれません。いうまでもなく大統領のD4Cは、無限に続く並行世界を行き来できる能力です。その強さの根源は、並行世界へ逃れた時点でダメージにしても術にしても、リセットが利くところにありました。(ゲームなんかでよくある、マップ移動で効果リセットというものではなく、自分が新品になるという点は全く以って新しくてなかなかないアイデアだとは思います) しかしジョニィのタスクACT4の回転はD4Cそのものに直接作用し、並行世界へ行っても効力が持続しD4C、ひいては大統領自身を土中に縛り付けるわけです。簡単にいえば、土中へ巻き戻す回転がどうあっても解除できない状態。これ、たまたま大統領が平行移動できるから新しい肉体とその魂が死なないだけで、普通の人にかけたら無限かどうかなんてわかんないのかもしれません。高次元の能力は高次元の存在にしかわからないと。

そんな高次元的存在で無間地獄真っ最中の大統領、ここでまさかの回想に突入。大統領の、ルーツのお話。


子供のころの大統領、トレードマークの巻き毛が短髪仕様だとか、毛さきにいくほどロールが巻くから襟足大変なことになってんぞとかいろいろあるのですが、ぼくとしてはまずなんだかよくわからない小動物に集られてるのに驚いた。親は犬っぽいけど、ちっこいのはブタみたいでちょっとこわい。

まあ、そんな事はわりかしどうでもよくて、お母さんがお父さんの親友だった人を息子に紹介します。この人の性がヴァレンタインさんで、あれ、てことは本当の親父の名字は一体…まさかまたジョジョにルーツのあるものなんじゃあ…と想いを巡らさずには居られませんね。何が残っていそうかな、やっぱりスピードワゴンあたりでしょうか。穴でダービー。日付繋がりで。

そのヴァレンタイン大尉は、現大統領ことファニー坊やに本当の父親の事を話します。状況から分かると思いますが、どんな人だったのかを。

大統領の父親は、戦争で捕虜となりながらも、国を、家族を守るために、心の拠り所を死守し、気高く落命した。キーワードは愛国心とハンカチ。現在の大統領の行動理念に繋がるルーツがここにありました。
愛国心というものは、わりと現在では蔑ろにされているというか、妙なグローバリズムのせいでピンとこない人も多いようで、しばしば日本が戦争してたころの話題などでよくない印象のものとして扱われるようですが、突き詰めればヴァレンタイン大尉の説明のとおり、家族を守る事の延長なのです。国を守るという大義もあっただろうけど、大抵の人はもっと身近な現実感のある大切なものを守ろうとして、そしてそれを実現するには国を、国家の誇りを守らねばいけないから、戦う。それが戦争です。国家同士じゃなく、民族だったりするともっと他の言葉になるけれど根っこは同じもの。この志を基に戦うのは「人間の気高さ」であり、狂信者とはまったく違う心。その通りだと思います。さらに脱線するけど、世界融和の風潮で国境をなくしちゃいたい人たちがいるようですが、ほんとすごいよ。ナショナリズムはいっしょくたじゃあなくって、自分の属する枠をしっかりと理解した上にあるものだと思います。なに人なのかわからない人相手に国際交流はないだろう。某ルーピーさんもそういう国際化を目指してた気がするけど、あの人はもっと視野が広かったのかもしれないけどね。属するカテゴリが「地球人」になっちゃう人からだと、そういう考え方もあるやもしれん。

閑話休題。

そう、大統領のルーツ。大統領の守りたいもの、そしてその行動理念の背景、それがこの回想で描かれた事。深読みすれば、大統領が並行世界を移動できる能力を手にしたのも、自分の所属する世界をしっかりと認識しているからかもしれません。ほんの数ページでしたが、この回想で大統領の人となりの理解が進んだと思います。敵キャラにしてもなんにしても、その行動理由が解明されると人間味がグッと増しますね。

その大統領が、その父の形見であり誇りの象徴であるハンカチに触れて思う事はなんなのか。普通ならば、ジョニィに絶対に打ち勝つという強い決意、というあたりに落ち着きそうですがSBRはちょっと違う。大統領はハンカチに触れることで、本当に守りたいものは何か、そのためにできることは何かを現状を踏まえて考え、基本世界に戻りジョニィに告げます。

大統領:「…………わたしの『敗北』だ………」
大統領:「『完全敗北』! もはや勝てない …『勝者』は…おまえだ……」

まさかの敗北宣言。しかしそれだけでは、大統領の守りたいものが守れない。そこで

大統領:「だが生きている「次元の」『ジャイロ・ツェペリ』もいる」
大統領:「ここからは『取り引き』だが……」
大統領:「わたしならこの場所へ『ジャイロ』を連れて来れる」
大統領:「可能なのはわたしだけだ」
大統領:「もし わたしがこのまま『死ぬ事』になるなら…」
大統領:「それは もう永久に失われる事になる」
大統領:「ジャイロはもう二度とこの場所に戻っては来ない」


取り引き!! (; ・`д・´)

ジョニィが今最も欲する現実、「ジャイロの復活」を条件に出すあたり流石すぎる。
でも、このままだと胡散臭すぎるし(回想もジョニィは知らないし)、戻って来るジャイロは記憶の共有が出来ていない、「違う世界のジャイロ」なわけで、そんなジャイロ連れてこられても微妙なことこの上ないし、ジャイロも納得できないだろう。ジョジョ的に読み解いても、ここで効いてくるのが戦いの前にあったあのくだらないやりとりです。恥ずかしい本名を告げたり、秘密にしたいフェチを明かしたあのやりとり。大統領が連れてくるジャイロは、あのやりとりをしたジャイロではないのです。記憶や経験が、人格を、言うなれば魂を形成する。所謂ひとつの、「さよならをいうあたし」なのです。もし大統領が、他人の記憶の同期まで可能というのなら話は別かもしれませんが。
大統領の条件も「見逃す」だけではないでしょう。大統領の目的は「国家の繁栄」であり、そのためには遺体が必要で、それにはルーシーが犠牲にならなくてはならない。それは主人公として、ジョニィは呑めないだろう。
もし仮にそのあたりが解消されるのなら、大統領の取引が現実味を帯びてきますね。さて、どうなることやらでTO BE CONTINUED...!

出典) 『STEEL BALL RUN』 荒木飛呂彦/ウルトラジャンプ・集英社

ブラボー…おお…ブラボー! 最初ブラボタンにしようと思ったけど、なんかやらしいからやめたんだぜ

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コメント

屠竜破骨(漢字うろ覚え)なんかもこれに近いですかね。
絶火自身が強過ぎて、最初の牽制技だけで、相手が消滅するとか何とか。


所で今回はACT4がオラオラ攻撃をした事によって地面が陥没し、大統領は生き埋めにされ続ける事になった訳ですが、この辺の所でちょいと疑問が出て来るのですが、ジャイロの投げた「騎兵の回転」が完全だった場合、ボール・ブレイカーはACT4になっていたのでしょうかね?
まあ、ACT4はあくまでACT3からの成長なので、ジャイロが完全な「騎兵の回転」を投げても、出て来るのはやっぱりボール・ブレイカーなのでしょうけど。

となると、実際の「騎兵の回転」の効果としては、鉄球による直接攻撃と無限の回転による「涙のカッター」効果?(人間の技術だけで遺体と同じ能力を発動出来るってのも凄い話ですが)

元々「騎兵の回転」は甲冑を着けた相手と戦う為に考案された訳ですから、当初想定されていた、甲冑を着けた相手にスタンド能力を持たない鉄球使いが「騎兵の回転」の攻撃を仕掛けた場合、以下の様になるのではないでしょうか。

①鉄球の攻撃自体は防具が有るので無効化。
②但し、この時発生したボール・ブレイカーの攻撃自体は防御貫通性能を持っている為、細胞が無限の回転を始める。
③攻撃を受けた者は何をしようとしても強制的に元の場所に戻されてしまう為、どこへも向かう事は出来ない。

とまあこんな感じで相手を余り傷付ける事なく無力化出来る訳ですから、物凄く平和的な攻撃方法ではありますが、逆回転の攻撃をして能力を解除しない限り相手はその場から動く事は出来ないので、結構エグい攻撃方法ではありますね。

でも、そもそも相手を無力化させるだけなら、使用条件が厳しい「騎兵の回転」よりも発動時間は短いけれど、同じく防御無視性能を持っており、且つ多人数を一度に攻撃出来る「壊れゆく鉄球」の方が使い勝手は良さそうなんですよね。(もしかしたら「騎兵の回転」が封印された代わりに「壊れゆく鉄球」が開発されたのかもしれませんが)

で、この辺からちょっとした仮説、と言うか妄想になるんですが、元々「騎兵の回転」って対多次元移動能力者用に考え出されたものなのではないでしょうか。
勿論「波紋」と「鉄球」を同一のものとして見る訳には行きませんが、相手の運命を縛り付ける技術を開発出来る程なのだから、予言とかも出来たのではないかと。
只、後継者達に「遠い子孫が多次元移動能力者と戦う事になるから、この技術を伝えていってね」とか言っても信じてくれないだろうから、封印された技術として伝えて行ったのではなかろうか、と。

そう考えると、他の幾つかの技術も対スタンド使い用に開発されたのかも知れません。
「動体視力が凄い奴と戦う事になるから缶の中に鉄球を入れる技術を開発しよう」とか、「体を爆弾に変える奴と戦う事になるから衝撃を移動させる技術を開発しよう」とか。

流石に妄想が過ぎますけれども。


後、一応マジ突っ込みしときますと、スピードワゴンの名称は、既にSBRレースのスポンサーとして登場しとります。