2010UJ04月号SBR感想 『#57 正義と邪悪(4)』

| 2010.03.31 (Wed) 2:40 AM | [SBR感想] | ←前■TOP■次→ |
この一投に

全ての知恵と修練と



誇りを込めて――。

 

前号まで
伝説の「騎兵の回転」を実現寸前で左腕を切断されたジョニィ。絶望的な状況下、スティール氏が命がけでルーシーを逃がし、ジャイロが彼女を馬に乗せて大統領から遠ざける事に成功。だが以前、危機的状況は続く…ッ!

D4Cに左腕を切断され、地面にうずくまるジョニィ。傍には落とされた左腕と、ジャイロの放った鉄球、それに大統領の左耳の希望セットが。希望の源である鉄球を拾い、ルーシーを連れ去ったジャイロを追って自分から離れた大統領を追うジョニィ・ジョースター。一方でジャイロはルーシーが引き寄せる大西洋に取り囲まれていた。

敢えて退路を断つこの行動、しかしこれはルーシーの周りにまで海が迫らないことを利用したジャイロのフィールド操作。周囲を水で囲むことによって大統領の行動範囲を狭める作戦なのでした。ジャイロの分析だと、大統領といえど攻撃のために出現する瞬間はこちらの世界に存在する必要があるとの事でしたが、案外腕だけ出して攻撃するとか応用が利きそうであり、そのへんが個人的には懸念要素。そもそもスタンドが呼吸するかって話もあって、その場合スタンドだけ出して攻撃すればいいだけの話になってしまいます。しかしながら、水がジャボジャボしていれば攻撃も移動もしにくいのは自明の理なので、少しでも行動制限できればいいな! 程度なのかもしれません。ていうか、レールの下通ってきた大統領に、今更海がどうこうあるだろうか……。

それよりもむしろ、ルーシーを大統領とを結ぶ次元の隙間を行動しやすい空間(大統領にとっては移動しやすく、且つより無敵になれるライン)を明確に示し、攻撃・進入方向を絞ることに目的があるのかもしれません。大統領は現在、光の中は無敵と思ってるわけだし、当然そこを追ってくるはず。方向が判ればより鉄球を当てやすくなるという作戦ですね。それならばルーシーを乗せている事も合点がいきます。

しかしそんな「不自然な有利さ」が、大統領に違和感を与えることに。海へと逃げることは自分の退路を絶つ形となったにも関わらず、完全に逃走はしない。何故か馬に乗っている事。そしてD4Cをより無敵にするルーシーを連れている事。近づけば近づくほど勝算が増すこの状況に、ジャイロを信頼しているからこその違和感を感じ取る大統領。

そんな二人が、海を割って対峙します。


このカットやばい。
絶対の能力に包まれた、スゴ味溢るる大統領の1Pカットも素晴らしいけど、続く見開きの神々しさときたら。

中世の騎士の決闘。西部劇のガンマン風対峙。そんな緊迫感が伝わってきますぜ。ヤバイ。間違いない。ヤバイ。


ジャイロの行動理念の根幹が不明な部分に若干の不安を感じつつも、自分の能力に絶対の自信を持っている大統領。騎乗したジャイロを前にしてもその威風堂々たる姿に微塵の揺らぎもなかったのですが、吹きすさぶ風が一縷のほころびを露わにしたのです。それは、風になびく髪が、感想した皮膚と擦れあって立った音。大統領は左耳がないのでその音を感じ取ったのか、それとも感覚はあるのに音が聞こえないことに違和感を感じたのかはわかりませんが、自分の左耳がなく、それが先ほどの鉄球の攻撃によるものだと認識します。駆け抜ける戦慄。完全無敵だと思っていた奇跡の空間・吉良空間にまさかのほころび。届く攻撃があったなんてー。このときの大統領の表情は、コミカルにすればルフィの特性を理解したエネルのようでありました。

しかし、これから迫り来る攻撃の前にそれを大統領が理解した事は、無防備でなくなったことを意味します。ルーシーを連れていたのは吉良空間なら無敵だと安心させるため。そのジャイロの自信は吉良空間に通用する攻撃手段を持っていたから。その力の秘密はこの場にそぐわないもの、つまり「馬」にあり、だからこそジャイロは騎乗している。「恐怖」…それは謎であるがゆえにだぜ。無敵と思われていた吉良空間にまさか届く攻撃手段があったとは驚きですが、それが何なのか理解できれば脅威ではあるが対処は可能。力の源となる「馬」がこの後の攻防となりそうな展開です。しかし、現時点で大統領が危機を理解し馬が狙われていることに気づいていない分、ジャイロが不利かもしれません。鉄球が一発では足りないとか言ってるジョニィはほんのちょっぴりズレてる感が否めませんが、いよいよ最終局面へ! To Be Continued...!!





さてさて遂に始まりましたジョジョフェスタ。コミックスはジョジョ通算100巻を記録し、ウルトラジャンプは表紙を飾り特別付録は100.5巻、本編は最終局面を迎え、「岸部露伴 ルーヴルへ行く」も本誌同時掲載がスタート。特設サイトも開設されました。アニメイトでは特典にポストカードも付随。ぼくは出社前に渋谷アニメイトに寄ったのですが、店頭にあるはずの新発売雑誌コーナーに陳列されておらず、店員さんに訊ねて出してもらいました。しかもまさかの1人2冊までという購入冊数制限が。ウルトラジャンプにそんな制限つくとは…。しかしこの時点で品薄だったようで、お昼にもう一度行ったら完売してました。品薄になるとは思っていたけど、ここまでとは…。後で知ったことだけど、されていると思っていた初版増刷がされてなかったようです。いつもどおりの7万部だったみたいですね。ワンピの0巻の件があるからある程度増やしてくると思ったけど、そんな事は全然なかったぜ。なかなか難しいとは思うけど、このくらい予想しなくちゃいかんのではないの。月刊誌とはいえ、2週間のブランクはそれなりに大きいと思うのです。
ともあれ、SQ.発売くらいのターンで3万冊の増刷があるようなので、買いそびれた方はそちらに期待してください!



というわけで、内容的にもページ数的にも見ごたえ的にもボリュームのあった今月号ですが、展開的にはあまり進まなかったので、ここから付録の100.5巻の所感を述べてまいります。露伴先生の冒険は別エントリーにて。




JOJO'S BIZARRE ADVENTURE vol.100.5

まず表紙。ジャンプコミックス仕様にあつらえたもので、イラストは劇場版公開の際に企画された、3雑誌(確かウルジャンと第一部全収録雑誌と劇場版ムックだったような)のピンナップを繋げると完成する、歴代ジョースター家(ジョナサン・承太郎・仗助・ジョルノ・徐倫・ジョニィ)&ツェペリ家(ウィル・ジャイロ)が一同に会した特大ポスターと同じもの(シーザー&アントニオ、貞夫&ホリィがいないのは華麗にスルー)。

そして裏表紙にはスティーブン・スティール氏の素晴らしいSBR開催宣言がプリント。まさしく震えるぞハートなのだぜ。
続いてこのジョジョ100.5巻刊行にあたって。これが短文ながら、ジョジョという作品を表していて素晴らしい。グッときた。

それでは以下、個別にいきます。


・綾瀬ハヤト(UJ読切:『しんくろ!!』『BLUE FLOWER』ほか)

ブチャとイギーとオリジナルキャラのデザインながら、ジョジョキャラに注力しまくってて明らかにクオリティがダンチ。オリジナリティと模写力は別の力なんだよなあと実感した(悪い意味ではなく、基本的に漫画家は絵がスゲー巧いんだよなーというお話)と共にジョジョ好き好きぷりが感じられました。

・石黒正数(UJ読切:『ジャスティス・ジャスト』ほか)

承太郎を中心に、ザ・ワールド、スケアリーモンスターズ、キラークイーン、C-MOONなどボスキャラを鏤めたデザインかと思いきや、マリリンマンソン、グーグードールズ、ハイウェイスター、エニグマを組み込んでの一品。マリリンマンソンて!

・今井神(UJ連載:『NEEDLESS』ほか)

今井先生のタッチというか筆致がパロディと親和性高いのかなんだか分かりませんが、こういうの、やたらとしっくりきます。今井先生の絵のままでその雰囲気が出ているのでええ感じですよ。このままNEEDLESSに出てきそうな感じもするし、今井先生の同人て感じもするぜ。当然か。

・うたたねひろゆき(UJ連載:『天獄』ほか)

「JOJOのキャラの造形は世界一ィイイイ!」
うたたね先生、こんな雰囲気の絵も描けるのかよーッ! やっぱ漫画家さんは基本的にスゲエな…。あとこの人もジョジョ大好きだな…意外だったけど。

・桜瀬琥姫(UJ連載:『GRANDEEK ReeL』、ゲーム『マリーのアトリエ』ほか)

ジョジョ成分、皆無。100巻お祝いのケーキカット。

・大暮維人(UJ連載:『天上天下』ほか)

この人がジョジョ大好きなのは、いつだったかの光臣DIO表紙で明らかなのだけど、今回はキラークィーン。デザインを微妙にアレンジして筋肉が生々しいぜ。何より、耳をリアルした事でキモ怖さが増してるぜ!

・okama(UJ連載:『CROSSROD』ほか)

「奇妙」と「100巻」、祝福の「花束」をイメージして、100種類の奇妙な花のカットイラスト。ジョジョ成分、たぶん皆無。おそらく倉田先生から一言言われていることでしょう。

・落合さより(UJ連載:『ぎんぎつね』)

なんとなく意外だけど、結構ジョジョファンみたい。それも4部の。4部の主人公パーティに、銀とまことのカットイラスト。お祝い感が出てます。

・木城ゆきと(UJ連載:『銃夢-LastOrder-』ほか)

ジョジョ成…いや荒木成分90%。ド真ん中にでっかくマーチン。マーチンて! でもしっかり銃夢してるところがニクイ。実際のところ、ジョジョ成分は0%なんだぜ! でも煮汁のように愛が溢れ出てます。

・桐山光侍(UJ連載:『忍空 second stage 干支忍編』ほか)

ジャイロと風助のフュージョンカット。ありがちだけど普通に面白いカット。でも題材がアレなので軽く恐怖を憶えました。

・倉田英之(UJ連載:『CLOTH ROAD』原作、ほか)

文字数全然足りないだろうなーと思ってたら、ちゃんとまとめてきたのでさすがだなーと思いました。
「人類が創り出した最高の創作物」と言い切れる倉田先生がスゴイ。他にもさまざまなものに触れてきている倉田先生が言うからスゴイ。

・夏達(UJ連載:『誰も知らない-子不語-』ほか)

オリジナルカット。ジョジョ成分0%。まあ仕方ない。この先生はジョジョあんま知らないだろうし。

・武井宏之(UJ連載:『ユンボル』、『シャーマンキング』ほか)

B.T.風DIO。一見BTにしか見えないのだけど、ちゃんとDIOに見え、それていて武井先生の絵だとわかるのがふしぎ。

・ツナミノユウ(UJ連載:『シュメール星人』)

シュメール(宇宙人)つながりということで、未起隆とのコラボレーション。意外にも(?)コンセプトはしっかり伝わってくるしイラストも構図も素晴らしく、スゲーと思ってしまいましたよ。

・天広直人(UJ連載:『初恋マジカルブリッツ』ほか)

ジャイロのオリジナルカット。髪の毛とか馬がリアル風で雰囲気あるぜ。それと対比するように、ホットパンツがカワイすぎる。

・萩原一至(UJ連載:『BASTARD!!』)

ワムウとジョセフ。どっからどう見ても萩原先生が描いたワムウって感じが出てて良いです。半目なのがポイントなのかな。

・濱元隆輔(UJ読切:『ウルトラうれっこどうぶつ』、『SeaSirSunシーサーさん』)

ハーヴェストを題材にしたカットイラスト風味の3コマ漫画。この方も4部ファン。4部大人気。

・林家志弦(UJ連載:『はやて×ブレード』)

元の画風は微塵もないカットだけど、ジョジョっぽくした感じが伝わる一品。本棚が黄金長方形とか家族総出で圧迫祭とか、ギャグがえらく冴え渡ってます!

・皆川亮二(UJ連載:『PEACEMAKER』ほか)

ガンマン繋がりでミスタが登場。皆川先生は、一場面を切り出したかのような静止画が巧いですよね。どっかで見たようでもあり、コピーっぽくはありますが。
弾丸に祝辞を印字するなど、細かい演出がニクイ。

・三輪士郎(UJ連載:『DOGS- BULLET&CARNAGE-』)

ポルナレフへの熱き思いを書き綴ると同時に、ポルナレフ&シルバーチャリオッツのステキカットイラスト。やべえ、カッケえなー。

・諸星大二郎(UJ読切:『妖怪ハンターシリーズ』、『未来歳時記』ほか)

諸星先生編・キャラにスタンドがあったら。スイマセン、何のキャラか存じ上げなくって…。。





■荒木飛呂彦×ウルトラジャンプ GOODS COLLECTION

いままでウルジャン懸賞で放出してきたお宝アイテムを一挙紹介。当たった人は自慢の種に、そうでない人にはただただ羨ましく思うだけのコーナーです。中でも一点ものの複製原画シリーズは垂涎モノ。SBR風に言うと、ヨダレずびっ! ぼくが持ってるのは2008年・13のTシャツしかないよ。しかも当たったわけじゃなく、ウルジャン祭りのときに買ってきたやつだからな。クリアカリキュレーターはノヴァ教授のが当たって、それはそれで嬉しかったけれど。。とりわけ2006年のモノクロ複製原画はヤバイ。当時は何のデザインかわからなかったけど、リンゴォ戦のクライマックスかよ…。欲しい。欲しすぎる。オークション出したら、50は軽くいくだろうな。大台も乗るやもしれんぞ。


■ウルジャン PRESS COLLECTION

お次はWebで期間公開されていたウルジャンPRESSの荒木先生シリーズ。チェックしてたけど見落としもあったようだな…。ン? 書店PR用!? ひょっとして、Web以外にもあったってのか…。


■THE HISTORY OF "JOJO" 1987-2010

100巻にも及ぶジョジョの歴史を、荒木先生の語録やエピソードを交えて1Pで紹介したコーナー。講演会に足を運んだりインタビュー記事に隈なく目を通しているジョジョ信者にとっては、「もう飽きたよ」というものばかりではあるものの(言いすぎ)、語り尽くせぬ一大サーガを1Pに纏め上げたのはさすが。書いたのはウルジャンの担当編集? この冊子の編集者? 同一人物のような気がしなくもないですが、的確な愛に溢れたコラムです。


■STEEL BALL RUN 初期デザイン画集

本当に懐かしい2004年の青マルジャンプに掲載されたものをベースに、未掲載デザインが追加された2P。本棚の奥から引っ張り出してちゃんと調べないとわからないけど、文言は当時なかったような気がします。「スタンド」と明記されてたらもっと記憶に残ってると思うんだ。


■ARAKI HIROHIKO'S BIZARRE ADVENTURE 荒木飛呂彦の挑戦

荒木飛呂彦×ルーヴル美術館の共同プロジェクト「ROHAN AU LOUVRE (岸部露伴 ルーヴルへ行く)」を主眼に、2003年の JOJO in PARIS やイラスト画集が紹介されています。2003年の JOJO in PARIS は足を運ぶべきだったなあー。何してたんだろ、当時…。


■拝啓 ―読者のみなさま  荒木飛呂彦

見開き2Pに亘って綴られた、荒木先生直筆の謝辞が掲載されています。
なんというか、勿体ないお言葉というか畏れ多いと言いましょうか、僭越ながら読者の末席を汚しております身としましては、微力ながらも全身全霊で応援させていただく所存であります(`・ω・´)ゞ

本編ではクライマックスが近づき、漫画家生活も50までというコメントがある背景の中、このSBRでフィナーレを迎えるのかもしれないと心の中で覚悟をしておるのですが、長い旅路からホームへと心が帰還し十分な休息ののち、お身体の調子とモチベーションが漲っておりましたらば、再び奇妙な世界へ誘っていただきたいと密かに願うところです。





・おまけ。

今月はウルジャンだけでなく、「マンガ脳の鍛え方」という、一部ジャンプ本誌で掲載されていたインタビューをまとめた書籍が発売になっています。荒木先生のコーナーもどどんとございまして、コマ割り・構図などのワザに言及されています。アニメにも興味がもりもりございますぼくとしては、カメラワークについての言及などは興味深いところでした。個人的な見解だけど、岸○先生のこと狙い撃ちしてるよなぁ~~と思ったり。講演会のときにもちょっと感じたしなー。まあ、表現方法の違いですかね。とりあえず、ぼくはNA○UTO読みにくいと感じておる次第であります。
書籍は結構ぶっとくて値段もそこそこ張るのですが、値段に見合った内容です。カラー写真もあり読みやすいので、興味のある方は是非読んでみてはいかがでしょうか。


出典) 『STEEL BALL RUN』 荒木飛呂彦/ウルトラジャンプ・集英社

ブラボー…おお…ブラボー! 最初ブラボタンにしようと思ったけど、なんかやらしいからやめたんだぜ

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