2010UJ01月号SBR感想 『#54 正義と邪悪』

| 2010.02. 5 (Fri) 7:23 PM | [SBR感想] | ←前■TOP■次→ |
スタンド――『D4C』


本体――ファニー・ヴァレンタイン合衆国大統領
何か物に挟まれると違う次元の世界に行ける能力。
もうひとりの大統領と入れ替わって負傷などを治せて戻って来れる。

攻撃射程距離――2m
手足の打撃や蹴りで攻撃する。
スタンド―『D4C』は多次元でも1体のみ。
『遺体』のある基本世界に存在し、本体といっしょに帰って来る。

 

前号まで
ルーシーを奪回し、大統領の野望を阻止せんと追撃するジャイロとジョニィ。大統領のスタンド『D4C』と『遺体』の力が相まって、新たな能力が具現化。さらに不利な状況下、ジャイロたちに勝機はあるのか――!?

先月、ナニがなんだかわからない、と言っておりましたが、やはり編集部もそういう読者の反応を予想していたようで、トビラで「D4C」の能力解説をまとめてくれてました。今回はアオリがなかったので冒頭にそれを記述したのでご覧いただければと思うのですが、これをみるとD4Cが本体みたいです。D4Cが大統領軍団を引き連れてるよ。多次元移動できるスタンドが、平行世界から本体を取ってこれるというイメージは間違ってなかったもよう。これは、”本体を倒せば撃破”という従来の定義を覆す形なので新しいですね。それでも本体が死ねば終わりなので根本は変わってないのですが、本体が新品になればスタンドのキズも治るので、スタンド=魂、本体=肉体という関係図になりそう。って、これ元に戻ってるのか?? アレ? 本体が本体足り得る条件も、スタンドの移行=記憶の継承を行ってのものなので、平行世界への輪廻転生と言えるのかも。平行世界(可能性世界)の認識(創成)が悟りとか解脱だとするなら、D4Cはまさしく聖人の能力。深いなあ。…どうでもいいけど、D4Cの肩のパーツがウォーズマンみたいでカッコいいなと思いました。



本編。


ジャイロのコリコリした頚動脈から鮮血ほとばしってまさかのリタイヤ? いやいや、最終奥義とかあるから大丈夫だろーとか思ってたけど、まさか指で押さえるだけでなんとかなりそうだったのは、もうこれは謎解きの問題提起の部分だとしてスルーしときましょうか。


それよりも大変なのは、ジョニィに迫る大統領ですよ。お前なにやってんだよ。今更大抵のことには驚かないのだけど、列車の壁もなにも突き抜けて空中歩いて接近中。


ジョニィは迎撃するも無敵の「吉良空間」フィルターにより攻撃(害なるもの)は「悪いエネルギー」となってどっかの工事現場(エッフェル塔?)で良くない結果をもたらしました。もうなんか荒木先生が鉄骨に切断された人体が描きたいだけなんじゃあないかって気がしなくもないですが、大統領へは攻撃は届かず、どこかの誰かがその不幸をおっかぶる結果に。ジョニィはショックを軽く受けつつも現状を分析。「空間のスキマ」はヴィジョンとして一応視認できるようで、ジョニィも『空間の隙間の中』を認識しそこが別世界だと理解したようです。相変わらずすげーなジョニィ。それにしても、このスキマは万人に視えるものだったのですね。スキマを認識できるのはD4Cを持つ大統領だけで、他の人からはスキマ空間自体が視えないのかと思っておりました。だから、D4Cは急に空間から出現するように視えるものだと。
しかし実際にはスキマに居る大統領は視認できる。なのだけど、大統領にとって害悪となるエネルギーはどこかへスッ飛んでいく。それでいてこのスキマには害悪でないもの→普通のものも引き寄せられているため、木々や土地までが寄ってくる始末。前方から無敵空間で迫り、後方は強制スクロールとはなかなかエグイじゃあないですか。前にファイヤーバー回ってるのに強制スクロールしてるようなもんですよ。


そんなジョニィの危機を救ったのはジャイロの鉄球。またスタンドの手に直接当たってるぜーとかはおいといて、本当頼りになる男だぜ。ワンチャンあればジョニィも反撃。タスクで応戦しますが、その爪弾は再び地球の裏側でどこかの誰かが不幸のエネルギーを受け継いで殺されました。タスクでやられたわけではないので、やはりエネルギーそのものが伝播して結果をもたらすようです。しかもこのスキマ、その結果をちゃんと映像で繋いでいるようで、ジョニィがショック受けてました。漆黒の意思持ちもクセにうろたえるとはなさけない。というか、どう見てもジョニィのせいではないように見えるんだけどな。


背後に効果線があると微妙にわかりにくくなる吉良スキマ空間から反撃するD4C。これを紙一重で躱すものの、ジャイロはカスリ傷を負い、それがまた身体を登ってくる始末。このキズは大統領の吉良空間から弾かれるように移動しているのか、害悪なる存在(ジャイロ)を抹消するための動きをするのか、年末にやったラジオでも意見が分かれたところでしたが、結局のところよくわかりません。頭か心臓という急所に向かって移動するので後者のような気がするのですが、これが誰の身にでも発生するのかも不明。ともあれ、パワーがあまりないD4Cでもカスリ傷でダメージ大なのはヤバイところ。パワーが弱くても付加効果で致死レベルというのは、C-MOONを彷彿とさせます。あれよりはマシですが。

さらにジョニィへの攻撃。これをジョニィは車両の連結部をタスクで撃ち抜く事によって回避。どうやら吉良空間にも伸びる射程があり、伸びる起点はルーシーに拠るようです。なるほど、射程距離もあったのか。てっきり地球レベルで次元の断層があるのかと思ってました。


一時しのぎにはなったものの、ジャイロは心臓へ直ダメージ、ジョニィは「克服したと思っても再び頭をもたげてくる敗北」トラウマ発動で戦意だだ下がりの主人公チーム。ジャイロは心臓のダメージもだけど、顔からの落馬は平気なのかそれ。ジョニィはジョニィで、遺体に選ばれた大統領こそが『正義』で自分たちが『邪悪』なものと思い込んでしまいました。あれは大統領が勝手に言ってる大統領理論なんだけどな。

そんなネガティブジョニィに対し、淡々と語りだすジャイロ。あの、鐙を利用し馬の力を加えた、幻の黄金回転の先にある回転のことを。ジャイロはその回転を試しに投擲し、あるひとつの結果を得たのです。それは、大統領に向かって投げた鉄球についていた髪の毛。


キューティクルから来る螺旋の力


紛れもねえー大統領の髪の毛だぜ!m9(゚∀゚)


まさかこんなところで持ち主を主張するための巻き毛だったとは思いもよらなんだ。そういえば、こういう植物ありましたよね。シダ植物。


この髪の毛が意味すること。「頭部に命中しなかった鉄球に、なぜ髪の毛が付いているのか」という謎。抜け毛が気になるお年頃だった。んじゃねーぜ!
それは、幻の黄金回転の先にある回転は、甲冑や盾を突き抜ける回転だったのでは?という仮説。



何が起こったのかはわからない。しかし、スキ間の中のヤツの「髪の毛」を抜いたという「結果」だけが存在する。




そんな一縷の希望を、そんな微かな希望だけを胸に、最後の対決へ…To be continued...






D4Cまとめ

  • 同じ場所に隣の世界を同時に存在させられる
  • ものに挟まると隣の世界へ行ける
  • 隣り合う世界からは出来た面のゲートから行き来できる
  • 隣り合う世界から持ってきた物質が同じ物質に接触すると破壊エネルギーを伴ない消滅する
  • 遺体は唯一無二
  • 時系列は同じ
  • 同じ個体同士であっても意識の共有はされない
  • D4Cもまた唯一無二
  • D4C(能力)が本体を替えることによって、大統領本体の記憶の共有(譲渡)が行われる
  • D4Cの攻撃射程距離 2m



● 疑問点

  • ニオイは残る(?)
  • 目撃証例の分かれた広場での出来事はどのようにして起こったのか?
  • 隣り合う世界の大統領は次元移動の能力を持たないスタンド・D4Cを持っている?
  • そもそも「挟まる」の定義がよくわからない。




と、まあまとめになっていないまとめですが、一応の整理をしてみた次第。
次はちょっとややこしい問題に対するぼくなりの解釈と妄想をまとめてみました。



吉良空間にいる大統領に「人馬一体の鉄球」が届いたのは何故か。

善良なるもの、邪悪なるもの、なんてのはちょっと曖昧なので自分なりに噛み砕いてたとさ。


まず、「スキ間の空間」はD4Cが移動していた次元と次元のちょうど中間くらいにあたる概念と仮定します。
そこに立ち入れるかどうかは、D4Cのように次元移動できるかどうかとします。
ここで、そのモチーフとしてメンジャースポンジ構造が描かれていたことを思い出しておくことにします。


その上で、鉄球の回転について考察。

鉄球の回転、つまりは黄金長方形の力を取り入れた「黄金の回転」ですが、あれは黄金長方形の中心点を結んだ軌跡を辿ることにより無限のパワーを得るというものでした。


黄金回転の軌跡


この同一の形状が同じ比率で延々と繰り返される構造(自己相似)をフラクタルと呼び、自然界はこの構造の集合体と言えるわけです。
ゆえにツェペリ家の黄金回転は自然に敬意を払い、それをモチーフとして無限の力を引き出していると考えられました。


自然界の基本は相似性



ここでメンジャースポンジ!


メンジャースポンジもまたフラクタルなんですね(シェルビンスキーのカーペット)


つまりは、大統領の次元移動と黄金回転は同じ理論から発現する力と言えるのではないか。
故に互いに干渉し通用する力なのではないか、というのがぼくの推測です。

ちなみに、この宇宙もまたフラクタルで風船の枝のように膨張し、そこからまた新たな宇宙が派生しているのではないかという説もあったりします。
このことから、今いる宇宙と平行宇宙の関係もまたフラクタルで成り立っているのか・も。


ユニバースに対し、マルチバースという考え方







ジャイロが密閉された缶に鉄球を入れられたのは何故か


金属板への入れ方は秘密にしとくぜ


今度は、缶詰の中に鉄球を入れる技術を量子力学でアプローチ。
「この世は可能性世界の重ね合わせ」である、というのを使ってみる。



鉄球は黄金回転によってその周囲の可能性をより「重ね合わせ」の状態にすることが出来る。としてみた。

元々素粒子レベルの話になると、存在が確率論になってきます。
素粒子レベルの場合、それが缶を通過する可能性はゼロではないわけです。
素粒子→原子→分子…物質と巨大になると、確率上通過できる可能性は限りなくゼロに近くなってきます。

だけど、それを操作できるとするなら、「缶」の壁を通過させて密封された内部に入れることができる。。。のかもしれない。



超ひも理論は、超極細のひもの振動により粒子の性質が変動しているという解釈で成り立っているのだけど、鉄球は回転によってその性質を変えているんじゃあないかなあという妄想です。超ひも理論でもスピン角運動量とやらがキーみたいだし、回転にはそういう力があるんじゃねえのかなあと。







タスクの「ワームホール」

タスクが空間を超越したワームホールを生成したのを見て抱いた妄想。






タスクは黄金回転によってワームホールを作ることが出来る。(アインシュタイン-ローゼン橋



すさまじい力場だが肉体を黄金回転に巻き込み「無限化」することによって通過が可能。
ワームホールは、これは空間のみならず並行宇宙に対して空ける事が出来る可能性があったりする。


アインシュタイン-ローゼン橋


なのでD4Cとは異なる方法で平行世界へと移動or干渉可能となるなのでは??




以上、妄想でした。
量子力学や宇宙を取り巻く最新理論がわかり易く書かれた本という事で、こういうの読んでました。




じわじわ読み進めているのでまだ読了していないのですが、なかなか面白いし内容も小難しくありません。興味のある方はぜひぜひ。上の図もそこからの引用です。SBRの展開描写に通じる科学事実や諸説などもあってとっても興味深いでっす。いまの物理を構築する4つの力「電磁力」「重力」「弱い力」「強い力」とか、それらを統一する大統一理論とか。いまのところそれに一番近いといわれているのが、超ひも理論みたいです。ちゃんと物理科学やってないぼくとしては、4つの力だけでも実に興味深い。
しかし最先端の科学ってのはファンタジーでフィロソフィカルだなあ。宗教にも絶対通じてるよコレ。宗教ってのは、超天才が科学以外の手法で宇宙の真理に迫った結果なんじゃないかなー。

出典) 『STEEL BALL RUN』 荒木飛呂彦/ウルトラジャンプ・集英社

ブラボー…おお…ブラボー! 最初ブラボタンにしようと思ったけど、なんかやらしいからやめたんだぜ

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