2009UJ06月号SBR感想 『#48 デラウェア河にて(2)』

| 2009.09.17 (Thu) 2:43 AM | [SBR感想] | ←前■TOP■次→ |

進行する不可解なクライマックス


レース、そして遺体争奪戦の

鍵は彼女ルーシーだ。

 

前号まで
大統領の野望を阻止するためには、聖なる「遺体」の最後の部位を体内に宿したルーシー・スティールを救出するしかない状況下。ジャイロとジョニィが、Dioが、それぞれ動き始める。果たしてレース、遺体争奪戦の行方は…!?




今回のUJ表紙は、真っ黄っ黄の目立つデザインに天上天下の光臣がDioっぽく飾るというサプライズ。髪のなびき具合や筋肉質っぷり、見下す視線にくっきり眉毛に一部Dioに通ずるものを感じました。それに加え、イヤリングのマーク(四部)や手袋のハート型(三部・四部)、ライダーゴーグル(二部)に背後のスタンドスカル(三部)がよりジョジョっぽさを醸し出していると言えるでしょう。輝く緑の服やチャラチャラついた服飾に至るまで、雰囲気作りにつながる細かい仕事。背景が黄色なのも、それがDioカラーである所以かもしれません。黄色って危険を示す色でもあるけれど、明るくポップなイメージだからなー。あまりラスボスでテーマカラー・黄色ってのはないかもしれない。黄色を華麗に着こなすDio様はスゲー。




本編。

自らの窮地を救ってくれる新能力に導かれてルーシーが行き着いた先にいたのは、他でもない大統領自身でした。あーあーまた泣いたルーシー。しかし油断してはいけませんよ、大統領。コイツの涙は文字通り『武器』なのです。ルーシーもそれがわかってて、ごくごく自然な流れでそれを生成しているのです。注意しなくてはいけません。絶望してるから泣いているのではないのです。その証拠に、背後ではスカートを破りどこに忍ばせていたのかペンでメッセージを残すという離れ業をやってのけていました。まったく油断もスキもありゃしない。

ルーシーの、スティーブンを助けてくれという要望に対し、なだめるように諭す大統領。みんなが迎える理想のハッピーエンドを語って聞かせますが、当のルーシーは心の中で「こいつは大ウソつき」と罵りまくり。そしてやっぱりといいましょうか、先ほど用意した涙のカッターで斬りかかりました。その太刀筋には幾ばくの迷いもなし。

しかし我らが大統領、そんな行動など(能力か洞察かはわかりませんが)お見通しです。昨今のキレやすい小娘の考えなど、数多の世界を股にかけ、すべてを超越した存在である大統領にとっては浅知恵もいいとこなのです。つい最近まで裏切り者だってわかんなかったじゃないかって?ああそんなこともあったね。
襲い来るルーシーの腕をやさしく受け止めた大統領、ここでブチ切れるのかと思ったらそこはさすが合衆国大統領ですよ。ミスター・プレジデント。

きみは私の幸運の女神様。きみの事は世界中のだれよりも理解している。私だけは君の味方だよ。きみのとっての私もそんな存在でありたいと願うのは、私の我侭でしかないのだろうか。受け入れて流れに身をゆだねてくれたら、私が幸せにするよ。(註:脚色あり)


その酸いも甘いも味わい、その年季が培った独自の恋愛観を持ち出して、ここぞとばかりに口説く口説く。その口説き方はあくまで紳士で、穏やかに。好きとか嫌いとか、そんなレベルじゃない。聞きようによっては利益になるかどうかしか見てない言い方なのだけど、実はこれが真理なのかもしれない。お互いにとっての『吉』の存在。感情次第、いつ豹変するかもわからない愛だとかよりも、ずっと確かなものなのかもしれません。『吉』かどうかがビビッとわかるケースなんて、あまりないかもしれないけれど。

ここで大統領、ルーシーのスカートが破けている事に気づきます。何故気付いたかは、別にフトモモちゃんに指を這わそーとしていたからなどでは断じてなく、あくまで紳士的な見地からの発見なのです。そうだと言ったらそうなのです。
物事には因果関係があり、それを大事にする大統領。ちっさな事でもしっかり調査。辺りを見回すと鉄柵に引っかかった布切れですよ。


『船の名はブルー・ハワイ号 Lucy.S』


このキング・オブ・ビッチが!


『極東学園天国』 2巻 日本橋ヨヲコ著



と思ったかどうかわかりませんが、おかげでルーシーの浅はかな企ては露見しメッセージが記された切れっぱしはビリビリに破かれました。誠心誠意想っているのにコソコソと悪だくみをするルーシーに、さしもの大統領もちょっとマジギレしそうになったけど、そこは大統領。相手は夢見がちな中学生ですしね。とりあえず、ルーシーにとっての懸案事項である、スティーブンを決して殺さないという誓約を宣言。これにより、ルーシーもちょっとは心を許したようです。大統領が悪って誰が決めたのよ。スーパーな力を持つ遺体ですら大統領に味方するほど。大局的に見れば、大統領こそヒーローなのです!


そんな大統領は、顔をハチに刺された部下の御者を「隣の世界」へ削除してました。うん、完全に悪だ。ジョジョの世界ではなおさら。

そして大統領一行が目指すのはマンハッタン島。そこで何が起こるのかは大統領自身にもわからないけど、そこが到達点という事は理解しているもよう。

そして、破かれ海に捨てられたはずのルーシーのメッセージは、奇跡的な偶然に押し上げられ、復元されて元の場所に。ここまで押し上げられてるなら、もう相手に届いちゃえばいいのに! 斯くして、運命は流れに委ねられました。


一方、こちらDio。隣の世界を体験し、自らと遭遇しながらも帰還を果たして大統領の弱点を嗅ぎ付けた男が、行方を追って追跡中。そうか、さっきのメッセージはDioが見つけるんだな。Dioならルーシーの臭いでわかるだろうし。みつけにくすぎるんじゃあないかと心配してたけど、大丈夫でしたね。
絶賛大統領追跡中のDioでしたが、船で移動した大統領の足取りを見失ってしまったようす。代わりに見つけた、というより遭遇したのがホット・パンツ女史。本体分離、遠隔操作の能力と、イカサマくさい先読みでいきなりあのDio様に肉スプレーをヒットさせちまいやがったぜ。肉スプレーは、近接では本体溶解、遠距離でもその性質上ガードするのがすこぶる難しいという、地味ながら強力な能力。しかも本体さんも再起不能にするのにまったく躊躇しないお方です。この窮地をどう切り抜けるんだDioォォォーーッ!と思ってたら



ズギュゥゥゥゥン!


キスでした!
しかもほっぺにチュッとかいうレベルじゃあない。
シタとシタを絡めるような、ディープなやつをだぜ!


Dioの狙いはHPも窒息させる事だったのだけど、ホット・パンツも自分の能力解除できないのかよ! ハナのとこだけ解除して息すればいいのに! もしくはドロ水で漱ぐとか。まあ、クリームスターターにそんな細かい操作はできないのかも。変装はできるけどな。

ヤバイと思ったホット・パンツ、唇だけ肉スプレーで移動させて妥協案を提出。唇だけで喋れるもんかどうか、気道に声帯まで移動させたんなら呼吸もできる気がするけど、そこは盛大にスルーしますよ。 そんなホット・パンツの提案は、「ルーシーの臭いを肉スプレーから嗅ぎ、それをDioが追跡する」というもの。そうか、Dioはルーシーの臭い知らなかったんだっけ? まあいいか。それにしても、それが用だったなら再起不能にしちゃダメじゃあないかよホット・パンツさん!

ホット・パンツの取り分は、遺体のみ。それ以外ならなんでも好きにしていいという条件だけど、そんなのをDio様が守るものかどうかかなり怪しいです。遺体も持ってくに決まってる。しかし、ホット・パンツのもたらした情報、父・ダリオが生きているという事実と幼年時代のトラウマをチクチクほじくり返された結果、取引に応じる事に相成りました。トラウマに弱いのはホット・パンツの方だろうにな。ドSのDio様がHPの過去を知ったら、さぞかしネチネチといたぶるんだろうなあ。ZOZKUZOKUしちゃう!


というわけで、Dioとホット・パンツの同盟関係がここに成立。こいつら、この間ずーーっと道ばたで寝っ転がって抱き合いながらディープキスしてたわけで、第三者から見たらさぞかしバカップルだったんだろうなー。え、HPは男装してるじゃあないかって? いや、それはそれでさらにアウトだろう。ジョセフとアヴドゥルほどではないにしてもだ。


攻アヴ

ホモの嫌いな女子はいないけど、バアさんには無理だった

Dioのスケアリーモンスターズの能力によって発見されたルーシーメモ。二人は大統領の追跡に移ります。そして、それをさらに追う影が二つ。ようやく出てきました、主人公。自分たちは手詰まりだから、追跡能力に長けたDioを監視しておくという戦術がステキです。3キュー4ever。


どいつもこいつもおまえらを!!今度追撃するのは僕らの番だ!!



全てを奪われなんもできず、手詰まりだった主人公チームが気炎を上げております!!
さりげなくジャイロが、「いつかあいつ(Dio)をブッ殺してやる」発言をかましてます。当然撃つ、躊躇なく撃つと宣言したジョニィに対し、不殺を誓わせたジャイロはずなのに。お茶目だなあ、ジャイロは。


ところ変わって、Dio&HP。船から列車に乗り換えたルーシーを追跡中。列車? どこ行くんだ大統領。ていうか、橋渡って追いつけたんなら、船に乗る必要あったのかよ! 臭い消すためかなあ。確かに Dio はおろおろしてたけど、そのためだけに船乗ったんだろうか。

その列車には大統領の影が。本格的な追撃に入ろうとした矢先、列車から放り出される人影ふたつ。事態の深刻さを理解するのはDioひとり。

放りだされた人影は、「隣の世界」から連れてこられたDioとHPなのでした。何も知らないHPは事態が飲み込めてない。Dioはやつらに遭遇したら消滅するという危機だけを伝えて、To be continued...!


確かに向こう側から来た二人にも意識や自我があるので、事態を把握するために攻撃するなり接触を試みてくることでしょう。それが致命的である事を理解しているのは、「こっち側のDio」のみみたいですね。「あちら側のDio」も大統領の能力の秘密を知っていたら話はまるで変わってくるでしょうが、ていうか、戦力増強するだけですが、意識の共有ができるのは並行世界の外から観測している立場の大統領のみ。大統領の強みは、並行世界での情報が共有できる事と、並行世界ごとの大統領が全員味方ってとこですね。しかも、私が死んでも代わりはいるもの、って全員考えてるとこ。生死の概念が、既に大統領のものは違うと思う。哲学的な話になってきそうです。

出典) 『STEEL BALL RUN』 荒木飛呂彦/ウルトラジャンプ・集英社

ブラボー…おお…ブラボー! 最初ブラボタンにしようと思ったけど、なんかやらしいからやめたんだぜ

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