[獣の奏者エリン]アニメ先取りSP&第1話『緑の目のエリン』感想

| 2009.01.21 (Wed) 11:12 PM | [獣の奏者エリン] | ←前■TOP■次→ |

アニメ先取りSP&第1話『緑の目のエリン』 感想

今期、視聴前に予習をしたのはこの1本のみ。2008秋シーズンははかなり早めにいろいろと手を打っていたのにこのギャップは自分でもどうかと思いますが、年末2週間で図書館分館行って借りてきて読んだ姿勢はがんばったと言っていいよね? たぶん、このタイトルは読んでおいて良かったと思う。アニメを観るにあたって原作を読むかどうかという疑問に自分で答えを出しきれていないのだけど、批評をするならば読んでおくべきかもしれない。まー、アニメを観ただけで演出や監督の意図がわかればそれでいいのかもしれないけど、とりあえずぼくはその域に達していないのでなるたけ読みたいところ。とか言って、今期で原作知ってるのはマジで数えるほどなんだけどな!

大晦日に放送された「2009アニメ先取りスペシャル」の感想です。主演声優を招いてのインタビューや浜名監督への突撃取材などがあって、なかなかに見ごたえがありました。物語の中盤以降に登場し物語の中核を担う「王獣」の情報が見れたのは収穫でした。では、ざっといきます。

登場したのは、メジャーの主演声優・森久保祥太郎さんと獣の奏者エリンのエリン役・星井七瀬さん、それに進行に髭男爵の2人。星井さんはハイジ、森久保さんはペーターのカッコしてました。髭男爵も言ってたけど、森久保ペーターは違和感無さ過ぎ。




このコスプレの意味は、事前の記者会見インタビューや公式サイトにも書かれているように、「21世紀のハイジ」を目指したから。


「21世紀のハイジ」


ぼく、こないだまでtvkで放送してたのを観てたのでストーリーも物語の雰囲気も新鮮なままなんですが、ハイジとはやっぱり方向性が違う気がするんですよね。あくまで原作の雰囲気と較べたら、の話ですが。確かに「獣の奏者」も、陽だまりの花畑のような明るさとのんびりとした暮らしの匂いもある物語ですよ。だけど、ハードさというかシャープさが違うんじゃないかなと。はっきり言って、高原の雰囲気とアルムおんじ≒ジョウンだけじゃねえかって思った。(とはいえ、ハイジも結構ハードなんですけどね。ストレスで夢遊病とか、とってもハード。おんじの眼光もとってもハード

シャープさって言うのは、エリンの少し大人びた振る舞いや洞察などの「考え方のリアリティさ」という事なんですが、それがハイジを目指す事によって無邪気さ全面の直情形になってしまうと根底の雰囲気が変わってくる。ハイジ目指すなら然るべきだが、原作の雰囲気はまず継承できないだろうと思う。スタッフに期待したいところだけど、どうもプロットからして異なる気がするのでやはり別物として観た方が良さげな感じでした。ターゲットは子供と、そして一緒に見る親。その狙いがある限り、「21世紀の名作アニメ」路線の選択は頷けるものといえそう。あとは「21世紀の名作アニメ」としてそれに足りえるかどうか。問題はそこだぜ…!

4クール50話の長丁場。子ども目線で日常を描くにはこのくらいの尺が必要なのでしょうね。 1story1Eventの構成だとして、シーズンは4分割くらいかな。『母と闘蛇』『ジョウンとの生活』『王獣リラン』『リョザ神王国』みたいな感じでしょうか。舞台も「アケ村→高原→カザルム王獣保護場→リョザ神王国」とわかり易く推移していきそうです。前半はともかく、後半は結構なストリームになりそうなヨカン。今年はNHK教育の放送が始まって50周年だそうですが、節目を彩るような作品になるかどうか。正直、電脳コイルを超えるのは無理だと思うけどな!


少し登場人物とかにツッコんでみる

登場人物紹介がされていたので順にツッコんでみるよ!

真王と大公
ムーミンママと真田皇帝

リョザ神王国を統べる真王と、辺境で異民族の侵入を撃退する大公。
原作では真王(ヨジェ)と大公(アルハン)という呼称でしたが、アニメはシンプルになった。
それはいいのだけど、霧の民(アーリョ)の聞き違えからくるルーツはどうするんだろう。『アォー・ロウ』とか出さず、いきなり戒律の民とか出すんだろうか。

セィミヤとシュナン
セイミヤ。地元にそういう名のスーパーがあります

真王の孫娘セィミヤと大公の息子シュナン。禁断の恋てやつです。
うすうす感づいてたけど、シュナンはやっぱロリ属性が若干あったようだ。でもそれなりに歳が近いしいいか。それにしてもおぼっちゃん過ぎるだろ。もう少しワイルドかと思ってた。

ダミヤとヌガン
キツネ目キャラをさせたら右に出るものはいません

ダミヤはもっと胡散臭いヤツかと思ってたけど、デザイン見てみれば思い切り石田キャラでした。シュナイゼルのような胡散臭さだと思っていたんだけどね。セィミヤはナナリー、みたいな。しかしシュナンは歳近いからいいようなものだけど、コイツはガチよね。真性のロリコンです。
そしてヌガン。あまりの手抜きっぷりに涙が出そうになった。純粋無骨キャラだと思ってたのに。何と言うダメ次男。

ジョウン
おんじほどの厄介じじいではない

ハイジで言うところのアルムおんじ。でも、血が繋がってるわけではない。いろいろエリンに教えてくれる、ポスト父親キャラ。

イアル
イメージ的に緑川光さんあたりがやりそう

真王を守る護衛団・堅き楯(セ・ザン)の一員。通称『神速のイアル』。過去を捨て、孤独に真王を守る堅き楯の中でもとりわけストイックな男。孤独という点において、その生い立ちにエリンと似通う部分がある。寡黙で根暗キャラのイメージだったのに、まさかのイケメンでびっくりした。趣味は細工箪笥作り。

◆王獣と闘蛇◆

物語の中核を為す架空の生物、『王獣』と『闘蛇』についても触れられてました。中でも王獣は後半から登場する生物なので、その設定だけでも興味深いものがあったぜ。

・闘蛇

硬い鱗で身体が覆われた巨大爬虫類。人に慣れる事はないが、「音無し笛」で自由を奪うことができる。頭部に乗り角を持つ事で操る事が可能。それゆえ戦闘用に使われている。大公はこの力を以って異民族からリョザ神王国を守っている。
『蛇』の名が付くが足がある。原作で「飛ぶ」とあったので、イメージ的に東洋の龍(神龍とか日本昔ばなし的な感じの)だと思っていたのだけど、トカゲっぽい西洋風のドラゴンでした。火は吹かないけど牙にも鱗にも毒があります。



子どもの闘蛇が出てきてたんだけど、ラブリー過ぎて噴いた。飼育されている闘蛇は繁殖ができない設定なのだけど、あの子闘蛇は捕まえてきたものだったのかな。ていうか、子どもでももっと巨大だと思ってた。やっぱり脱皮するのかなー。

スティッチよりかわいい(当社比)

・王獣

リョザ神王国の象徴・真王の権威を表す獣。針のような銀色の体毛は矢を弾き、爪と牙は闘蛇の鱗を易々と切り裂く。生体的に「闘蛇用音無し笛」器官を有し、これを以って闘蛇を屠る。二枚の翼を持ち、大空を飛翔する。闘蛇と同様に野生にも存在するが、こちらの方が食物連鎖的に上位種なためレア。この王獣もまた専用の音無し笛で自由を奪える。雛のうちに捕獲し、真王の威光のため飼育される。こちらは戦闘用ではなく、象徴。王獣を操る術は存在しない事になっている。
体毛と翼というキーワードからイメージはグリフォンや鵺だったのですが、組み合わせが真逆でした。つまり、頭が狼で身体が猛禽類。手がなくて翼だったのにはびっくりした。今思えば「雛」っていう言葉を使っていたし、原作でも鳥に近いイメージで描かれていたぽかったね。触覚みたいなのがカッコいいぜ。



この王獣のラフデザインが見れただけでもこの特番を見た価値はあった気がする。浜名監督がんばってた。そんな高くなさそうな椅子でがんばってた。一年間、きばってください!




そのまま第一話の感想いきます。



第1話『緑の目のエリン』感想

ナレーションで世界観の説明があったり、全体的にほわほわした雰囲気なのは、名作劇場を意識していそう。エリンはアケ村ではもっと肩身狭く生活しているのかと思ってたけど、ついて来る友達もいるみたいだし子供同士では問題なく過ごせている模様。よそ者を見る目で見ているのは大人たちのみか。「魔がさした子」と囁かれる設定はないかもしれない。

序盤の軸となる「闘蛇」という生き物がどんなものかをじっくり描き、それを扱う「アケ村」という生活環境を子ども闘蛇を使って説明していったのはなかなか良かった。来週は母・ソヨンのエピソードですし、エリンの身近なところからじっくり描写してくようです。
エリンはもうちょっと落ち着いた子だと思ってたのだけど、結構やんちゃだった。好奇心旺盛、純朴、天真爛漫という言葉が似合う女の子。年相応に見えない落ち着きを持つのは、今後母との離別を経てのものなのかもしれない。
アケ村の様子と平行して、ほんの少しだけど世界の様相、真王&大公、そしてシュナンやヌガン、ダミヤを出してきたのは、時系列的な理解がし易くて良いですね。このあたりはアニメだからこそか。

画は良くも悪くも子供向け。別に批判的なわけではありません。闘蛇の殺戮シーンを抽象的にしたのも、逆に恐怖や不安が煽られて良かったと思う。描写的に気を遣ってのものだとしても、演出・表現次第で意図は伝えることができるんですよねー。演出大事。表現方法大事。
割とポップでカワイイ感じの画だけど、闘蛇の凶暴さは描かれていたように思う。デカいし、重量感があった。物質的にもう人間じゃあ勝てないな、というイメージが自然にできたので凶悪モンスターという印象付けには成功したと思う。

でも、ここで硬直させてもエリン潰れるよね

エリンとの対比が上手かったからかな。恐らく王獣にも共通しそうな事だけど、瞳の描写が重要。瞳の様子で、平常時・興奮時・硬直時を表現していくつもりなんだろう。
闘蛇関連で言えば、体表を覆う尖った鱗と甘い香りのする粘液がよく伝わってこなかったのが残念。匂いはどうしようもないけども。あと子ども闘蛇が登場したけど、こいつはどうなっていくんだろう。原作ではふれあいが描かれるのは王獣リランなのだけど、闘蛇も描くつもりなのだろうか。となると、今後エリンに関係のある二頭が敵同士として対峙するというシーンも、そこまでいったら描かれるであろう哀しいシーンも想像できてしまうよ。藤咲淳一さんやるかな。まだよくわからないなー。
しかし子ども闘蛇がこれだけ可愛く描かれてしまったら、王獣はどうなってしまうんだろう。鳥+狼でしょ? ふわふわのもこもこだぜーきっと。

声優陣に関して言えば、エリン役の星井七瀬さんはそれなりにがんばってた。少なくとも、子役としては違和感なく入り込めました。ただ、あくまで子ども役という事であり、今後エリンが成長しても同じような感じだと残念な事になるかもしれない。現在は子役として役作りしているための初々しさならば期待が持てそうです。まぁ、だいぶ先の話なので、本人も慣れて上達してくと思います。
他のキャストはベテランの鉄板から若手まで多数勢揃い。ざっと眺めると、楠大典さん、川本成さんなど、テニス繋がりのキャストがちらほら。あと吹き替えや劇団所属の人もたくさん。耳に残ったのは、やはりダミヤ役の石田彰さんと、ハッソン役の永井一郎さんか。ハッソンはまさかの波平でびっくりしたわ。

制作はProduction I.Gとトランス・アーツの共同制作。つまりは「精霊の守り人[I.G]」×「テニスの王子様[トランス]」というわけですね。ざざっと挙げれば、原作・アニメーション監修の上橋菜穂子さん (守り人)、監督の浜名孝行さん (図書館[I.G]&テニス)、シリーズ構成の藤咲淳一さん (RD 潜脳調査室[I.G])、キャラクターデザインの後藤隆幸さん (精霊の守り人[I.G])。これにNHKエンタープライズですよ。どうなるかな。浜名監督の仕事ぶりを見ながら、NHK、フジ、テレ東の違いを堪能するのもいいかもしれない。

最後になってしまったけど、OP、EDについて。やっぱりここに方向性は思い切り出てると思った。てくてく歩いてるエリン。古代壁画調の王獣と闘蛇、取り巻く世界。母ソヨンとエリン、そしてまだ不明だけど赤いリンゴは何を意味するのか。ファーストインプレッションでは、禁断の実=獣の操技を受け継ぐもの、という意味かと思ったけどそれは深読みし過ぎでしょうか、正鵠を射ているでしょうか。
OPはNHKらしく(?)一般アーティスト、スキマスイッチの「雫」。この曲はお仕事関係でちょっと前から聴ける立場にいたのだけど、歌詞も旋律もいい感じだと思いました。EDも柔らかで、守り人・タイナカサチの「愛しい人へ」のような壮大なものもいいけど、ゆっくりしているのもアリだなと思った所存。どちらも余韻を大事にしているのは共通項ですね。
そして、OP、ED共に微妙に哀しくも、基本的に明るいイメージで締めている点に「名作劇場」ぽさを感じました。


一話総評:
いろいろと気を遣って作ってるなあ!という印象でした。子供向けにするぜ! NHKなんだぜ! という意識がビンビン伝わってくるというか。精霊の守り人からもNHKだぜ!という心意気は感じられたけど、それとはまた違う感じ。精霊の守り人のNHKだぜ!は電脳コイルに似通った「マジメ作品だぜ!」、獣の奏者エリンはアリソンとリリアやテレパシー少女蘭に近いニュアンスの「子ども向けだぜ!」みたいな。簡単に言えば、アリソンの画で守り人の世界観ですね。ともあれ一年の長丁場。シリーズ構成に重点を置いて観たいと思います。

『獣の奏者エリン』
原作・アニメーション監修
上橋菜穂子
監督
浜名孝行
シリーズ構成
藤咲淳一
脚本
藤咲淳一
キャラクターデザイン
後藤隆幸
総作画監督
高橋成之
美術監督
鈴木朗
撮影監督
だいけんいち
音響監督
平光琢也
音楽
坂本昌之
CV
[エリン] 星井七瀬
[ソヨン] 平田絵里子
[真王] 谷育子
[ダミヤ] 石田彰
[大公] 楠大典
[シュナン] 花輪英司
[ヌガン] 川本成
アニメーション制作
Production I.G
トランス・アーツ
製作
NHKエンタープライズ

ブラボー…おお…ブラボー! 最初ブラボタンにしようと思ったけど、なんかやらしいからやめたんだぜ

獣の奏者エリン一覧