[墓場鬼太郎] 第1話「鬼太郎誕生」

| 2008.01.16 (Wed) 10:52 PM | [アニメ, [墓場鬼太郎] | ←前■TOP■次→ |

第1話 「鬼太郎誕生」

墓場鬼太郎 萌え化したとされる5期「ゲゲゲの鬼太郎」と平行してノイタミナ枠で放送が開始された「墓場鬼太郎」。このラッシュには、鬼太郎というコンテンツに対するフジテレビ、東映の意気込みが感じられます。ここで改めて、原点の恐怖を目の当たりにする事も愛への一歩だと思います。ちなみに、「萌え」ばかりが取り沙汰されている5期ゲゲゲですが、実は「燃え」も相当なもんです。超アツい。そんな色々な顔を見せてくれる「鬼太郎」というコンテンツ、並びにそれを作り出すスタッフの方々は本当に素晴らしいなと思うのです。

僕はゲゲゲの方ですら完全読破してないニワカなんですが、一応鬼太郎出生やキャラ的な立ち位置は理解してるつもりです。元々鬼太郎の歴史を紐解くと、古典的な側面を持つだけに出版社の歴史や時代背景といった小難しい問題にブチ当たるのでかなりややこしいんですが、それらの経緯もあって様々なバリエーションの鬼太郎が生まれているわけです。僕も自分で調べたものや人の話を聞いての理解なんですが、簡単に言えば「墓場鬼太郎」は貸本版(貸本について気になる人は調べてくださいw。昔は貸本という文化があり、貸本作家というものが存在したのです)、「ゲゲゲの鬼太郎」は少年漫画としてアレンジした販売用書籍って事でしょうか。間違ってたらゴメンな。

そんな素人の前置きはこれくらいにして、いよいよアニメ版墓場鬼太郎が始まりました。オープニングに原作をそのまま持ってきて、のっけから水木テイスト全開。「マンガノゲンバ」などを見てると理解出来ると思いますが、コミックをテレビで紹介しようとすると(演出の仕方にもよると思いますが)、なんとなくチープになりがちですよね。僕はその原因に、カメラワークはともかく、音的な間を埋めるのにセリフを読み上げちゃう事にあると睨んでいるのですが、墓場鬼太郎のオープニングはテーマ曲に合わせてのスライドなので、ヘンな気持ちにはなりませんでした。電気グルーヴの曲もなかなかどうして、雰囲気に合ってたりします。オープニング中なので効果音も無しだったのがまた良かった。見ていて非常に懐かしさと恐怖を感じられた「ゾー」とか「カアー」というマンガ擬音ですが、これSEとして再現されてたらちょっと興ざめだったかもしれない。こういった昭和マンガ独特の味って、今微妙にウケるんじゃないだろうか。ほら、藤子不二雄(A)先生がSQ.で連載中の[PARマンの情熱的な日々]も、その方向の強烈なインパクトが出てるじゃないですか。時代は昭和回帰ですよきっと(笑

さてアニメの中身ですが、原作の雰囲気を知ってる人は「これよ、これ」、知らない人は「こ、これが原点か」と思わせるものに仕上がっていたと思います。作画で言えば、人間をリアルに、異質なものは水木テイスト、と分けていたのが光ってました。あの区別は、妖怪サイド(便宜的にそう表現します)をコミカルな印象を与えつつも異質なものとしての恐怖を孕ませ、人間サイドではリアルさで種族としての明確にする事で視聴者の感情移入を容易にする演出をしたと思う。全部水木テイストの場合を想起すれば分かりやすいかと思うけど、全部水木風の場合は人間と妖怪の混在感は出る一方、全体的にファンタジーがかって別世界って気がしません?そこで、見た目にリアリティを込める事で、意識を現実世界に近づけて恐怖を演出してるんじゃないかと勝手に思ったり。恐怖ってものはリアルに感じるから怖いわけで。
なんか、小難しい話になってきやがりましたが、この流れは自分でも何がなんだかわからなくなってくるので切り上げるぜ?このまま行くと鬼太郎という作品が持つ意味とかに触れてくだろうし、そうすると鬼太郎の設定とかキャラとかを掘り下げてく事になるのでやめとくぜ。知識もなぞった程度でそんな詳しくないんです僕!なので、アニメで思った事だけに集中してみる。
 
他に見ていて気になった部分で言えば、「幽霊」っていう単語でしょうか。病院の院長が「幽霊を信じるかね?」と言った後に、見ればわかると出てきたキャラが亡者。単語的なイメージでは、実体のない霊魂をイメージしていただけに驚愕した。普通に「それ、ゾンビだろ!」ってツッコんじゃった。それでも普通に「幽霊」と表現されてたあたり、水木ワールドの幽霊という概念を再確認しましたよ。「幽霊族」というのはまた別に認識してたのだけど、この世界での「幽霊」がどういうものなのかって事を意識させられました。
 
その幽霊族はというと、人間とは別の生命体。人間が死んだら幽霊になるとかそういうんではなく、別の種族。幽霊族には病気も飢えもあるので、普通に餓死とかします。そのへんがリアルなので、幽霊とは違う感覚で、ひょっとしたらその辺にいるのかも…と思ってしまいます。だけども地獄や亡者と遠い存在ではないという。そんな幽霊族の存在は、地獄や魑魅魍魎といったファンタジー寄りなものにリアリティを持たせる、パイプライン的というか、境界を曖昧にさせてるんだなーと思いました。三段論法みたいな。
 
そして幽霊族の末裔、鬼太郎誕生!鬼太郎は生まれた時から左目は腐れて無い設定と思ってましたが、アニメでは事故により喪失したという事になってました。傷とかどうしたんだよ?って思ったけど、まあいっか。潰れるシーンでずらりと並んだ地蔵も左目から血を流してたのが印象的。
そんな鬼太郎は人間に育てられる事に。最後の生命力を目玉に移して生き残った目玉の親父に、深い父の愛を感じました。最初、クリオネかと思ったけどなw。親父は左目だったんだね。親父が鬼太郎の左目になると想像した人も少なくないんじゃないかな。そんな父の愛を知りながら人間になつく鬼太郎。見守る目玉の親父。その様に涙しそうになったのですが、人間になついていったのは生存の為だったぽく、鬼太郎のこすからさを見た気がしました。
 
鬼太郎はまったく悪くないのだけど、人間にとって忌み嫌う世界に関係してる存在であるがために、周りに居る人間は不幸になっていく。これが、異なる存在ゆえの恐怖ってヤツなのか。育ての親の水木さんは生きながら地獄から帰れなくなり(たぶん、意味なく草咥えてカッコつけた事がマズかったのだとw)、母親は狂気に触れる。どうでもいいけど、母親が相談した霊媒師のアドバイス、的確過ぎだろ!悪い存在(鬼太郎)の事は曖昧にしかわからなかったクセに、その対処法が具体的過ぎ。「なんとかして地獄への切符を手に入れて、その入口、たぶん崖だと思うからそこで鬼太郎を突き落とせ!」とまで言ったとしか思えない。そんな人間の行動を見て、人間というものをおかしく感じる鬼太郎は、別種ゆえの感情か。この視点が原点たるものですよね。
 
そんな雰囲気の中で、目玉の親父殿はまさに一粒のぬくもり。程度の違いはあれど、変わらぬキャラクター性がここにありました。田の中勇さんという声の存在はスゴいよ。

エンディングもとても良い感じでした。本編からスムーズに流れるような導入。曲もいい感じで、誰が歌ってるのかと思ったらしょこたんでした。グレンラガンといい、(アニソン)歌手としてのしょこたんの株は急上昇してるんじゃあないか?話題集めに留まらない評価を得つつある気がします。

鬼太郎という作品は、妖怪という不変的な存在を通してその時々の時代が表現される作品です。5期鬼太郎と墓場鬼太郎、比較して観るとスゲー面白いと思いますよ。原点を再現する墓場鬼太郎、現代という時代を反映させた5期鬼太郎。メッセージ性はそれぞれにあると思うな。敢えて言わせて貰えば、子供にも受け入れられるようにと配慮されてる5期鬼太郎の方が困難な仕事が施されてると思ってます(笑。

『墓場鬼太郎』
原作
水木しげる
シリーズディレクター
地岡公俊
シリーズ構成
成田良美
脚本
成田良美
キャラクターデザイン・総作画監督
山室直儀
演出
羽多野浩平
地岡公俊
作画監督
窪 秀巳
音楽
和田 薫
CV
[鬼太郎] 野沢雅子
[目玉親父] 田の中勇
[ねずみ男] 大塚周夫
[水木] 大川 透
[鬼太郎の母] 鈴木れい子
[鬼太郎の父] 郷里大輔
[水木の母] 真山亜子
[夜叉] 堀 秀行
[ドラキュラ四世] 大友龍三郎
[トランプ重井] ピエール瀧
[寝子] 中川翔子
アニメーション制作
東映アニメーション
製作
水木プロダクション・墓場鬼太郎製作委員会
公式サイト
墓場鬼太郎

ブラボー…おお…ブラボー! 最初ブラボタンにしようと思ったけど、なんかやらしいからやめたんだぜ

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コメント

>鬼太郎は生まれた時から左目は腐れて無い設定と思ってましたが

原作の誕生シーンでは、確かに最初から潰れているんですが、その後に描かれる設定説明や回想シーンなどではでは、墓石にぶつけられて目が潰れた事になってるんですよ。何で設定を変えたのか不明ですし、設定を変えてからも最初のシーンは描き直されなかったり、逆に何事もなかったかの様に最初から潰れていた事になっていたり(笑)、公式設定でも二つの説が入り乱れている様です。
ただ、墓石で潰されたという方がインパクトがあるからか、最初からの障害という設定では問題があるからか、自分が子供の頃に持っていた鬼太郎百科みたいな本でも、目が潰れている説明として二話のシーンが載っていました。今回のアニメでも、そちらが採用されたみたいですね。

「幽霊族」という設定というか言葉は面白いですよね。
水木先生の作品に出て来る「妖怪」は、天災や意思のないモンスターではなく、人間的な感情を持った珍しい生き物みたいな感じで描かれる場合が多いですが、その原点が本作の「幽霊」ではない「幽霊族」なのかな、などと改めて思いました。

コメント、ありがとうございますー!



で、いきなりお詫びになるんですが、なんか改行がされないみたいで申し訳ありません…。記事をアップする際の設定で、改行を変換するようにしてないので、それが引き継がれているのかも…。MTは色々面倒なので、記事はタグ入れながら書いてるんです。うっとーしい仕様でスミマセンでした。後でちょっと見てみることにしますー。コメント来たのが珍しくって、今の今まで発覚しませんでしたw



・左目のこと。

僕の友人も気になっていたそうです。その彼はゲゲゲの記憶しかないので、ひょっとすると貸本版では左目が潰される事になるのかも、と言ってました。でも、それは合っていて、潰されるバージョンは後付なんですねー。なるほど、わかりました。情報、ありがとうございます!

ちなみに、彼は「原作では鬼太郎は首絞められいた」って言ってました。この辺もなかったようで、やはり描写の面で規制があるのかもしれませんね。



それにしても、鬼太郎百科…。相当なファンですね!僕も子供の頃、妖怪辞典とかあった記憶がありますが、あれはどこへいったのやら。あの頃は、「あかなめって、ただただ便利なだけだよね」とか思ってました。でも、あまめはぎに恐怖してましたww。