2008JSQ.1月号特別読切「岸辺露伴は動かない―六壁坂―」講演会考察&感想

| 2007.12. 8 (Sat) 10:31 PM | [ジャンプSQ., [東北大&青学 荒木先生講演レポート] | ←前■TOP■次→ |

命尽きるまで―――!

    芸術人(アーティスト)―――ッ!!!

 

絵:荒木飛呂彦&LUCKY LAND COMMUNICATIONS
(原作 岸辺露伴)

待ちに待った第四部スピンオフ、「岸辺露伴は動かない」の第二弾がSQ.読切でお披露目です。第一弾「エピソード16:懺悔室」から数えて10年! 「10年に一度しか出ないシリーズなんて待たせすぎだぜふざけんなぷんぷん!」、という人もいるかもしれませんが、僕は「10年に一度のスペシャルシリーズだぜ! そんなの読めるなんて超幸せ!」とか思う変態という名の紳士なのでハッピーもハッピーですよ。まあ、1年に一本くらいの頻度で特別短編があって、それをまとめた単行本が5年に一度くらいで出たらモアベターだなと思っておりますが。でも、今は定期連載があるだけで満足です。

で、今回の短編読切。実は、先だって行われた東北大学&青山学院大学の講演会で、この「岸辺露伴は動かない―六壁坂―」が教材として使われていたのでした。いやーあれはすげかったですぜ。原稿のコピーとはいえ、上げたばかりで写植もまだ入っていないできたての作品を、部分的とはいえ執筆者の解説&朗読と共に読む機会なんて普通ないですから。その「六壁坂」ですが、講義の教材に取り上げられたとはいえ発売前の雑誌に掲載予定の作品という事もあり、内容についてネット等で公開するのは控えて欲しいとの事でしたので、SQ.発売まで待って感想とまとめてやる事にしました。作品中のネタの裏話などなど、合わせて書いていきたいと思います。

 

■六壁坂を教材資料として選んだ理由

その理由とは単純明快。それが適していると思ったから。そしてそれしか手元になかったから。やはり短編の方が構成などを説明する上では便利だったというのもあるでしょう。長編でも一話ごとの起承転結はしっかりしてなくてはいけないけど、長い目で見た起承転結も存在するから難しくなりそうです。その点短編読切ならひとつだし、教材としては好都合といえましょう。

 

本編解説

荒木先生は、序盤はとある意図もあって1Pずつ解説して下さっておられましたのでそれに沿って1Pずついきます。でもその調子でやってるとボリュームが恐ろしいことになるので本編からはページ単位でなく普通の感想スタイルとしますのでご了承下さい。

1P目

画集を眺めている男の前に「貝森稔(かいがもりみのる)」という漫画編集者が到着する。彼が話しかけた男の顔は描かれておらず背後からの描写。大判書籍で表紙に「ド・スタール」という名前まで明記されているのに、新人バンドの本ですかとイイカゲンな会話をしてくる貝森くんに対して、奇妙なイヤリングを付けた男がピクリと反応し、「興味深いな…編集者の君にはこれがミュージシャンの本に見えるのか? 100m先の薄暗いところから眺めても画集にしか見えないと思うが」と、激しく皮肉で答える。




POINT!

・1ページ目で読者を惹きつけるのが目標。1P目が読まれなければ2P目も読まれないから。

・キャラクターを描写する。
→皮肉交じりに攻撃する様から性格を描き始める。

のっけから露伴節炸裂です。読者の立場から見れば、タイトルで露伴先生の登場は既知の事象なのだけど、ここでキャラクターを印象的に紹介します。独特なセリフの言い回し(性格)や奇抜なアクセサリだけで、知っている人は「ああ、露伴先生だ。何も変わっちゃいない!」と思うだろうし、初見の人でも関心を惹く人物に映る事でしょう。1ページ目は重要で、読者に先を読んでもらえるように引き込まなくてはいけない。そんな中、キャラクターの性格をそれに利用しつつキャラ描写をこなしているのがこの1ページ目というわけです。

僕はこれ読んだ時、貝森くんが露伴先生の逆鱗に触れやしないか、この1ページ目からドキドキもんでしたよ。別に貝森くんが飛び抜けてダメなわけじゃあないんですけどね。彼は普通に日常会話をしてただけですが、それが考えなしの軽いやり取りだった事と相手が露伴先生であるという事が、読者的にはドキドキハラハラしてしまいます。露伴先生相手だと一瞬たりとも気が抜けません。「興味深いな…」っていうセリフがそれを象徴していて、「100m先かの薄暗いところから見ても画集にしか見えない」というセリフでトドメ刺してます。100m先なんて本かどうかも判別が難しそうなのに、薄暗いところからでもって。これには「キミは絵画の持つ雰囲気も感じ取れないセンスの持ち主なのか」という意味合いも含まれているように思います。絵って言うのは15m先から見てそれだと分かるのが「絵」なのですよ。ですが、100mなのは露伴先生のイヤミ以外のなにものでもないでしょう。

2P目

2ページ目で謎の男の紹介。プロフィールと共に絵に対してのこだわりを現して「ただもんじゃあない」感を演出。一般人離れしたスゴいこだわりを突然出してこられ、ついていけない感じで気のない合槌を打つ貝森くん。




POINT!

・興味なさそうな貝森くんの態度は荒木先生の経験談。
1年目の編集者って大抵こういう感じでやりにくい。何も知らないから押し付けられると面倒で、でも仕事だから教育する。

ここで露伴先生のお姿が初めて描かれます。このタメが重要なのでしょう。タメられた分、キャラの理解へ注がれる読者の集中力が増す効果がある気がします。ページをまたぐところに持ってきていますし、これぞマンガの演出ってヤツですね!

で、入社一年目の貝森くん。いわゆる新人編集者の話ですが、やっぱりどこもそうなんですね(笑)。またかと言われそうですが、こういうネタは「吼えろペン」でもありました。こういう事は中堅やベテランのマンガ家さんにちょろちょろまわって来る事のようです。担当が少しくらいしっかりしてなくても崩れないマンガ家でないとこの役目は出来ないでしょう。新人マンガ家には中堅どころやベテランの編集が付くだろうし、その逆バージョンってところでしょうか。吼えペンでは「少しの間、こいつを鍛えてやってくださいよ先生!」→(「鍛えてから連れて来てくださいよっ!」)というやりとりがとても面白かった。

3P目

そんな貝森くんの態度を見て、さらにカチンと来た露伴先生。続いて時間の事で攻撃します。マンガ家のところには早く着くのもダメなんだ。編集者として礼儀知らずだと。ボクだから良かったな、と一言言って打ち合わせに入ろうとする二人。そこへファンと思しき二人がサインを求めて乱入。




POINT!

・遅れても早く来てもダメというのは、荒木先生のお友達・CLAMPさんの事。
早く行ったら、「仕事終わってないのに何で早く来るんだ」って怒られたとか。後日のパーティでは5分遅れて行ったら(パーティは少し遅れて行くのが礼儀だから)、もう始まってるよって怒られたそう。だから、マンガ家というのは遅れて行っても早く行ってもダメというヤバい存在。その体験をネタにしたもの。

・打ち合わせに入るところでひとつの区切りが存在する。
ここからだんだん不思議なことに突入していく。現実世界からファンタジーに移行する前置きがここまでであり、ここを境に日常生活から異世界に入っていく。これは、いきなり異世界に入ると引く読者がいるんでこういう手法を採っている。

・読者サービスという事で昔のキャラクターを登場させる。
玉美と音石明の事。

直接怒ったり一気にヒートアップはしないのだけど、じわじわと、且つ様々なアングルからも責めていくのが露伴先生の性格。早く来ても怒られる貝森くんの反応がすごくイイ。しかしこれが体験談だなんて、やっぱりマンガ家って職業の人は「変わった人」なんだなぁーッ! ボクだから良かったな、というセリフからは、ボク(荒木先生)自身はそうじゃあないけどな、というメッセージが窺い知れるというものです(笑)。

最後には読者サービスで玉美と音石くんが登場。音石くんはかなりの額の窃盗罪だったけど、もうシャバに戻れたようです。康一くんが望んだように、出所して立派なミュージシャンになれたんでしょうか。それにレッチリはどうなっているのだろう。そんな音石くんはどうだか知らないけど、玉美は露伴先生とは面識があるのだからこんなところで貰わなくってもいいのに。康一くんに頼むとか。というか、以前はまったく興味がなかった感じだったのに。ただの金ヅルとしか見てなかった憶えがあります。兄貴分の康一くんが読んでるのを見てハマったのかなあー。それとも同じ三頭身ズの間田くんの影響だろうか。いや、玉美は間田の事を性格の捻じ曲がった気味悪い野郎として見てた気がするのでそれはないか。

4P目

そんなファンを制する編集の貝森くん。そんな貝森くんを尻目に独自のドリッピング画法でスデにサインを描き終えてる露伴先生。お礼を言って去るファンを見送り、露伴先生が打ち合わせの前にナマナマしい話をしてもいいかと貝森くんに話を切り出す。




POINT!

・ファンを制止する貝森くん
これは編集者としての仕事だそうで、必ず止めなくてはいけないんだとか。

やっぱり厚顔無恥にサインを求めてはいけないんですね。そんな機会に巡り合った事ないけど、勉強になりました。もし、もしいつかどこかでバッタリ見かけても、仕事中はグッと堪えて遠慮したいと思います。仕事中以外の場合はスペシャルサンクスである事を期待します(笑)。
しかしドリッピング画法がすげーです。色紙とか受け取ってないのに「もうすでに描いたよ」って。しかもインクはコーヒー! 下書きしないで驚いてた康一くんが懐かしい。「なにィーッ インクがコーヒーだぁーッ! コーヒーを手裏剣みたいに飛ばして描いてるよぉ~~~ッ」くらい言いそうですが、もう自宅に泊まっちゃうくらいの仲なのでどこまで変態ワザ使えるか知ってる可能性が高そうです。

5P目

ナマナマしい話と前置いて、カネの話を振る露伴先生。そしてサラリと破産した事をカミングアウト。家もなければ漫画を描く机もない、「セーラームーン」のフィギュアも「レッド・ツェッペリン」の紙ジャケも「るろうに剣心」全巻も全部売っ払っちまったと惨状を告げる露伴先生。驚く貝森くんを尻目に「モン無しってヤツだよ 財産は君のまったく興味のないド・スタールの画集これ一冊だけだ 悪いか?」と、皮肉を飛ばす露伴先生。




家もなければ机もない、その他こだわりの品々も全部売っ払ってしまってモン無しだという露伴先生。るろ剣を持って来たのはSQ.で看板背負う和月先生への援護射撃なのか?! 当の和月先生は巻末コメントで「まさかあの先生が自分の作品を所有して下さったとは…。天国の扉が開いた気分」と驚嘆しておられた模様。そりゃびっくりしますね。心なし、「セーラームーンのフィギュア」にインパクトを持っていかれた感はありますけども(笑)。そしてこの次のページの欄外広告ではしっかりとるろ剣完全版のCMが入ってました。ここは同じページのが良かったと思うけど、ページの構造上、左ページ欄外の方が重要だから仕方ないのかもしれません。

そして最後に「財産は君のまったく興味のないド・スタールの画集これ一冊だけだ 悪いか?」と皮肉はしっかり入れて、とにかく現状説明した露伴先生。次から次へと衝撃的な告白ばかりする露伴先生に、読者は貝森くんのように釘付けですよ。でもまあ貝森くんほどじゃあないか。これから打ち合わせするのに担当マンガ家が仕事場ないとか言ってるんだものね。びっくりだ。

6P目

前借りとか言うから少しお金が入り用になった程度かと思ったら、担当マンガ家の破産告白を受けた貝森くん。お金持ちのはずの露伴先生がわけわからんこと言い出したので慌てます。こないだ別荘地の山林まるごと買ってたレベルの金持ちじゃあないですか! と。そしたら露伴先生、だからさッ! と語気を荒げながら、妖怪伝説のマンガを描くためにリゾート計画が頓挫するくらいの面積の山を買って計画を阻止したのだけど、開発計画がなくなったので値崩れして山は原野同然、それでモン無しというわけ、と経緯を簡潔に説明。というわけで「原稿料前借りできる?悪いか?」




理由は整然としててどこもおかしくないよな?何も悪いことはないだろ? と言わんばかりの露伴先生の語調がステキです。やはり最後の「悪いか?」がそれを象徴してると思うのですが如何でしょうか。

7P目

筋は通っているので経緯は分かったのだけど、あまりに突飛すぎる行動理念が理解できないといった感じの貝森くん。社会人一年目(多分)で既婚者でもある一般人の貝森くんには理解しがたい話です。信じられない部分をひとつずつ確認する貝森くん。それを「必要なのはリアリティだ」の一言で切り捨てる露伴先生。貝森くん再度の確認には「くどいな!」とややキレ気味です。




POINT!

・必要なのはリアリティだ
露伴は金よりもマンガの方が大切と考えるキャラクター。漫画のために山を買うっていうキャラクターを作りたかった。これがこの部分におけるテーマ。

動揺を隠し切れない貝森くんに同情するぜ。彼の手の組み方はなんかおかしい(指がヘン。左手中指の所在が不明。)し、普通に話しているようでいながらちゃんと椅子に腰掛けておらず超不自然な中腰状態。動揺しまくりですね! どんだけー。ペリエを前に、生ツバゴクリ。何だよコイツ、マジかよ…みたいな感情がビンビンに伝わってきますね!

ふと、露伴先生のプロフィールに独身ってあったのは最初は作品の中の時間は経過してるけどまだ独り身ですよって事がまず言いたくて、それに合わせるために貝森くんのプロフも合わせたのだと思ったのですが、彼が既婚で露伴先生が独身という事を強調したかったのかもしれない。なんか少し頼りなくてフツーな貝森くんだけど結婚してますよ、一方社会的な地位もありカネもありイケメンな露伴先生だけど未だ独身ですよ、という事が言いたかったのではと。それがどういう効果に繋がるかというと、キャラクターの性格付けにリンクしてるんではないかと。露伴先生の「独身」というステータスは、失礼ながら「変人」という性格を強調してるんではないかと思うんですよ。結婚してたら超意外ですからね。それで1エピソード描けてしまいそうだ。性格が変わったのなら納得できるけど、そうでないなら納得できない。変人キャラを強調するためにも露伴先生は独身でなければならないと。そう考えると、ちょろっとしたキャラクターのプロフも人物背景を深くする面白い要素になりますね。

8-9P目

露伴の常軌を逸した異常な行動に、生唾を飲み込み目を逸らす貝森くん。それをめざとく察知し、激しくツッコむ露伴先生。自身の哲学を正当化するため、続けざまにまくし立て、そして取材はムダではなかった事を宣言。その意味深な言葉に真実味と不気味さを感じ取ったのか、何がいたのか聞き直す貝森くん。君は話を聞いてるのかと怒りながら、六壁坂の妖怪はいたんだと衝撃告白。まだ信じられずに貝森くんがもう一度聞き直して物語は本編へ。






POINT!

・なぁ…君ねぇ! 人の話ちゃんと聞いてんのかッ?!
話を聞いてない編集者は実際多いとか。

・現実世界からファンタジーへの移行
編集者が詳しく聞こうと聞き直して本編(ファンタジー)へと突入していく。日常からスタンドの世界に入っていく。

貝森くんが叛旗を翻しました。というか、完全にコイツヤバいと確信してるのか、貝森くんは露伴先生の攻撃に怯みません。立派になったなあ貝森くん。マジメに相手をするのを半ば諦めたかに見えた貝森くんでしたが、露伴先生の一言に再び驚愕。その一言の意味がわからず訊き直す貝森くん。そんな貝森くんを、君はちゃんと人の話聞いてんのかとキレまくる露伴先生。露伴先生はどこまでも露伴先生なのでした。素晴らしい。

どうでもいいけど、露伴先生はとっても語り上手だと思います。こんな話し方されたら惹き込まれちゃうのは仕方ないです。

 

導入部まとめ

と、ここまでが導入部分。貝森くんも気になる「六壁坂」の妖怪の核心はここから始まります。

この導入部の8Pだけでも起承転結が存在します。番号で表すと

 ① - 読者を引き込む人物紹介。
 ② - 破産告白。現状のピンチさを告げる。
 ③ - 事実を話して編集者に引かれる程のピンチに。あぶない人だと思われそう。
 ④ - 本当に妖怪はいた。露伴の勝ち。ハッピーエンド。

という感じ。その中でキャラクターもちゃんと描かれている。

【キャラクター】

露伴を主人公にした理由は、ジャンプの読者ならひと目見て露伴だってわかるだろうという意図。

【テーマ】

露伴の哲学。マンガを描くためだったら財産なんかどうでもいいという考え方がテーマになっている。

 

本編の構成



本編は、起承転結で言う「結」の部分からスタートするという構成。結起承転結という感じにズラしている。このずらしているのはテクニックで、どうして殺したのか?という風に読者を惹き込ませる働きがある。そうやって惹き込んでおいてから、キャラクターの説明などに入る。起承転結の構成は同じだが、どんどん追い詰められるよう、起承転転転転結という具合に転の部分を多くしている。(転の部分は、血を止めようとする→更にヤバい状況になる、の部分)

スタンドのアイデア

以前に鉄分が失われていくスタンド(メタリカ)を描いたが、その延長にあるのがこのアイデア。 何故そういうアイデアを思いついたかというと、荒木先生はよく鼻血を出すのだとか。春は花粉が飛んでるので鼻をかんで鼻血を出し、夏は暑さでのぼせて鼻血を出し、秋には乾燥で鼻血を出し、冬はチョコレートの食べすぎで鼻血を出しているという荒木先生。そんな鼻血を見て、これが止まらなかったら怖いなと思ったのが最初で、さらにそれを発展させ「もし死んでも止まらないヤツがいたらどうなるんだ」という発想がメモしてあった。アイデアとしてはあったが、そんなのは敵にならないのでずっとほっぽり出していたのだけど、今回はそれが短編で使えるんじゃないかと思って使ったのがこの六壁坂だった。

サスペンスの作り方

行動している楠宝子に感情移入出来るように作る。完全に感情移入できるように、マヌケな行動は取らせてはいけない。

ex)
・死体を隠そうとする場面 … 読者が思いつきそうな可能性(バスルームに隠すのがいいとか、トイレに隠すとか)を出来るだけ排除し、楠宝子に読者が感情移入出来るようにしている。
・針で縫おうとする場面 … ここを何のためらいもなく楠宝子がやると読者の共感を得られないので、謝っている。どんどん血を止めるためにやることが加速していくが、それをさくさくこなされると現実味がなくなり漫画の中の人というイメージが強くなる(リアリティが欠如し感情移入が妨げられる)という事だと思われます。

以上のような感じで講義は行われました。教材に使われたと言っても全編ではないので、ピックアップしての分析解説でした。やや乱暴にまとめちゃいましたが講義まとめは以上で、こっから以下は僕の感想です。

 

六壁坂 感想

ダークヒーロー岸辺露伴

取材のためとか言って楠宝子を本にしてしまってるところとか、学者でもなくジャーナリストでもなくマンガ家だから根本的な解決はせずに放置とか、露伴先生は一般的な正義は貫いてません。どっちかというと、吉良やプッチ神父よりの、自身の正義に殉じてるキャラです。だからこういう役回りにも適しているんでしょうね。というか、何しても面白くなってしまいますよ。

岸辺露伴は動かない

この動かないというのは、岸辺露伴は主人公ではなく、物語のナビゲーターですよ、という意味(死刑執行中脱獄進行中あとがきより)なんですが、今回は露伴も結構動いた気がします。前回の露伴先生はホントに話を聞いただけでしたが、今回は振りかかった火の粉を払っただけなのだけどスタンドも使ってますし、ただ取材をしたというだけでなく露伴先生自身が関わりを持っています。ゆえに、今後この不思議に関わり合いなしにいられるかどうかは気になってしまうところですね。

ところで、死刑執行中脱獄進行中のあとがきで短編がタイプ分けされているのですが、その分類(*1)で言うと今回の話はBかCになりそうです。Bかな、どっちかというと。終始サスペンス調だけど、動かない1作目もBだし。

*1:分類タイプ
 A:登場人物の行動や思いをひたすら追いまとめた作品。
 B:ほんの短い時間の出来事を切り取って、そこに人生やテーマを閃光のように象徴させる作品。
 C:ナンセンスやサスペンス、ムード、デザイン、エロ、グロ。それそのものを描くのを目的とした作品。
 D:日記やエッセイ、手紙。

貝森稔は悪くない

序盤、露伴先生にダメ出しされっぱなしでかなりイケてない人として描かれていた貝森くん。でもよく見れば、彼はなーんにも悪くない! 最初は世間話をちょっと振っただけだし、怒られたけど時間にも遅れてない、ファンを制止する仕事はキッチリこなしてますよ。担当マンガ家から「仕事場ないんだ」とか言われたら取り乱すのは当たり前だし、マンガが一番なのに描けなくなってる今の状況ってどういう事なんだよ、コイツ頭おかしいんじゃねえの?って思うのは、まあ普通だと思うのです。妖怪とかの話についていけないのも、いきなり言われたら聞き直すと思うんだ。「へぇ~そうなんですか、それはスゴいっすね!」なんて返してたらむしろおかしいと思うのですよ。だから貝森くんのことを悪く言うのはよそうぜ! 彼はガンバってるよ!

SBRをPR

郡平やその子供たちの服に燦然と輝くSBRのロゴ。SBRはUJで絶賛連載中だぜ! そういう目で見れば、郡平のヘアスタイルは鉄球のミゾにも見えなくもないぜ!(妄想)

クローゼットの天井裏は秘密の宝庫

猫草の時もそうでしたが、何か秘密がある場所は決まってクローゼットの屋根裏部屋。荒木センセはそこに何か神秘的、謎的な雰囲気を感じているのかもしれませんね。僕も家建てるような事があったら、そういうスペースを作ってみたいところです。

火事場のクソ力

追い詰められた人間は、時に信じられないようなパワーを発揮する…。それがまさに追い詰められた楠宝子で、成人男性の体をカーペットに包んで肩に担いで冷蔵庫の上に上げるという芸当を見せてくれました。荒木先生も、もうアスリートですね(笑)とか言ってました(笑)。

血を売るバイトはいいカネになると思うんだ

外部に漏れないようにという配慮か、楠宝子は郡平の沸き続ける血を廃棄していたようだけど、それを売ればいいカネになりそうだなーとか僕は思っちゃいます。よくわからない生物の血だけど、拒絶反応がなければ輸血にも使えるだろうし。しかも痛めつければスゴい出るし(笑)。こりゃあカネの為る死体ですぜ。生殖(死姦になるのかな?)も出来るんだから、血も人間だろきっと。そんなことを考える僕は外道の貧乏性ですかそうですか。いや、人助けっすよ人助け(笑)。

妖怪にも効くスタンド能力

そういえば、初めて幽霊にも効果を示したのが4部でしたね。それが今回は妖怪にも射程を延ばしました。そんなのがいればって話かもしれませんが、もう何にでも通用しそうですぜ。露伴先生の場合は、言葉を理解してる相手でないとダメっぽいですけども。

六壁坂の目的

露伴先生はこの妖怪の目的を「子孫だけを残すのを目的とした妖怪」って結論付けてたけど、それってどうなんだろう。死体の子供を産むとかいう行動に出る人は、ごく一部なんじゃあないかなあ。行為が行為だしさあ。あ、それとも血を飲んだ事で妊娠したんだろうか。それはそれでイヤだけども、でももしそれで繁殖するなら、死んだ後も血を流す現象に合理性が出ますね。そうなら献血はダメだなw。
まあ、血で繁殖はゾンビみたい(六壁坂はウイルスによる病気なのかも?! )なんでおいといても、大体これ性別が逆だったらどうなるのかと。女の子もいたけど、死姦はともかくとして(←オイ)死んだ後で子供を産むんですかね?というか、この愛し方は女性にしか該当しないんじゃあないか(男性には起こりにくい感情)なんじゃないかな。
しかも露伴先生のケースを見る限り、成熟してなくても(大人になってなくても)六壁坂の能力(性質)は生きてるみたいだから、なんつーか一部のマニアで引っ張りだこになるんじゃあないか?とか色々想像しちゃうぜ。外道でどうもスミませェん!

そいや、この話を読み終わったとき、蟲師がフラッシュバックしました。『綿胞子』っていう話だったかな。妖怪というコンセプト自体が蟲の設定に似ているのかもしれませんね。

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2008JSQ.1月号特別読切「岸辺露伴は動かない―六壁坂―」講演会考察&感想

出典) 『岸辺露伴は動かない―六壁坂―』 荒木飛呂彦/ジャンプスクエア・集英社

ブラボー…おお…ブラボー! 最初ブラボタンにしようと思ったけど、なんかやらしいからやめたんだぜ

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コメント

いや、実際、死姦は男の方がやりますよ。男は女をわざわざ殺してやったりする。特に外国に多いです。

まぁ、男なんてのはやれればいいんでしょうね。