ラフ・プルーフ(耐笑仕様)で臨め! 『デス・プルーフinグラインドハウス』

| 2007.09.12 (Wed) 10:44 PM | [映画] | ←前■TOP■次→ |

教訓:DQNでもDQNに絡む時は気をつけよう

我が物顔で疾走するイカレ野郎の運命や如何に?!

ラバーダックのオーナメントが超イカス、“耐死仕様(デス・プルーフ)”のダッジ・チャージャー

というわけで観てきました、『デス・プルーフinグラインドハウス』。正直、この前に観た『プラネット・テラー』が相当面白かった分もあって尻すぼみにならないか不安を覚えたのですが、そんな不安は杞憂に終わりました。何という爽快感か!SPAにでも行ってスッキリした気分だぜ!

あらすじ

夕暮れのテキサス。オースティンのラジオ局の人気DJジャングル・ジュリアは、親友のシャナ、久しぶりに地元に戻ってきた大学時代の女友達アーリーンと一緒に街へ繰り出した。お気に入りのバー、グロエスからテキサス・チリ・パーラーをはしごする3人。彼女たちをドクロマークの付いたシボレーがつけまわしはじめる。この不気味な車を運転しているのは、顔の傷痕のある中年男、スタントマン・マイクだ。最初は気味悪がっていた3人も、男とバーで会話をかわすうちに警戒心を解いていった。その時、同じバーに居合わせたパムは、この男に車で送って欲しいと頼む。しかしパムを車に乗せたとたん、男は豹変した……!
14ヶ月後。テネシー州で映画のスタントウーマンのキムとゾーイ、メイク係のアバナシー、新進女優のリーは、ぽっかり空いたスケジュールを有意義に過ごそうと計画。彼女たちはゾーイの希望で『バニシング・ポイント』に出てきた70年型ダッジ・チャレンジャーに試乗することに。リーをディーラーの元に置き去りにして、アクロバティックなスタントライドを楽しむ3人。ゾーイはボンネットに乗ってごきげんだ。そんな彼女たちに、あの不気味なシボレーの男、スタントマン・マイクが目をつけた。容赦なく車をぶつけてくる男にタフな女の子たちの怒りが爆発。猛反撃がはじまった!(パンフレットより)

『デス・プルーフinグラインドハウス』は、ロバート・ロドリゲス監督と共に作ったコラボレート企画「グラインドハウス」のクエンティン・タランティーノ監督の担当映画。グダグダな部分からこだわり過ぎてる部分まで、スミからスミまでタランティーノ監督の映画です。当然タランティーノなのでお下品ネタも空気の如くあります。流れとしてはジェットコースター的な緩急が施されており、イライラさせられるほどのゆるーい雰囲気だと思えば急転直下のカーチェイス。弾けだしたらしがみつくほかありません。最後も乗り場で止まらずそのままどっか突き抜けていく感じ。余韻とかそういうの、一切ないよ!

この映画は前半部と後半部に大きく分かれています。大抵のこういった異常者に車で追われる話は『激突!』を筆頭に『ハイウェイマン』『ロードキラー』などなど多くで見られますが、いずれも最後は被害者側がかろうじて追っ手側を退けるストーリー構成になっているものです。しかしこの『デス・プルーフ』は違う。前半はカート・ラッセル演じる狂気の男スタントマン・マイクのイカレ具合を物語るパートでこれは今までの何ら変わりはないのですが、後半が全く違う。完全に攻守が逆転し、イカれた男が逆襲に遭いうろたえまくるパートになっているのです。これにカート・ラッセルがハマり過ぎてて困る。キチガイの異常者なのに、ちょっと反撃に遭っただけで、「ちくしょう!オレが何をしたっていうんだ!」とか「もう勘弁してくれーー!」とか泣きそうになってる変態親父を見ると可愛くて仕方がないよ。責任転嫁っぷりがサワヤカ過ぎて愛しさすら感じるよ。

監督のこだわりを感じたところは、やはり前半パートで女の子たちがスタントマン・マイクの凶刃にかかるシーン。夜道でヘッドライトを消して正面衝突を仕掛けるスタントマン・マイク。衝突の瞬間、無残に砕け散る女の子たちの乗った車。こういった見せ場は様々なアングルから撮影し、その瞬間を多角的に表現するもので、このデス・プルーフでもそのような演出にはなっているのですが、何て言うかこだわり過ぎてるんですねー!どうこだわり過ぎているかというと、タランティーノ監督は衝突の瞬間の弾け飛ぶ3人の女の子ひとりひとりに焦点を当ててその死に様を詳細に伝えているのです。運転席の子は押し潰され、助手席の子は空高く舞い上がり、後部座席の子は乗り上げてきた車の車輪に顔面を削られる様を、一人あたま3カメくらい使って、しかもスローで細部まで表現。流石はタランティーノ監督としか言いようがないすよ、これは。

監督のこだわりは対極のグダグダシーンにも見られました。後半部、女の子たちが至極どうでもいい話をごはんを食べながら延々と話すシーン。後ろにスタントマン・マイクの姿が見えるので、ここで接点が生まれるのかと思いきや、ここは完全にスルーで延々女の子たちのどうでもいいお喋りがただただ流されます。見てる人の中には飽きた人もいるかもしれないこのシーン、実はオールノーカットの長回しだったのを僕は見逃しませんでしたよ。5分か10分くらいずっと喋りづめのシーンを長回し。これはすごい事ですよ。台本があったのか、全てアドリブだったのかはわかりませんが、どっちにしてもスゴいお話です。まあ、監督のこだわりってわけじゃないのかもしれないけど、役者さんはスゴいなーと思った。

最大の見せ場はやはりカーチェイス。CG無しのガチンコカーチェイスには本物の疾走感があります。CGだとあり得ないアングルからの表現も可能となりスピード感は素晴らしいのですが臨場感に乏しいのが残念なところ。一方、実写だと画面からリアルな振動まで伝わってくるようなリアリティが感じられます。ゾーイたちのハイテンションと画面の躍動感が融合し、さらにはスタントマン・マイクが受ける衝撃までもを体感する事が出来るような仕上がりは、実写ならではであります。

この映画を端的に言えば、“耐死仕様(デス・プルーフ)”に仕上げた車で女の子の車に突っ込み、性的快楽を得る変態親父が、ボンネットに寝転んで曲乗りするような女の子グループをうっかり標的にしてしまい、彼女らの健闘を称えて見逃したが最後鉄パイプに箱乗り状態で追跡され、さんざ小突き回された挙句車から引き摺り下ろされてフルボッコにされるお話です。なんだそりゃ?!と思われるかもしれないけど、そのまんまなんだからしょうがない。この映画から得る教訓は

「いかなキチガイでも、一見して分かるようなキチガイにちょっかい出すのは危険」

という事に相違ないと思います。


  最後は腕っぷしじゃねえ イカれてる奴が 一番こええ   「『極東学園天国』より 東海林シゲル」




なお、原書をそのまま翻訳したメイキング本が9月下旬に発売予定。様々なグラインドハウス風ポスターやストーリーボード、予告編の紹介など、内容盛り沢山!

■「スタンダップ・コメディアン」への成長物語 『プラネット・テラーinグラインドハウス』

『デス・プルーフinグラインドハウス』
監督
クエンティン・タランティーノ
製作総指揮
ボブ・ワインスタイン
ハーヴェイ・ワインスタイン
脚本
クエンティン・タランティーノ
出演
カート・ラッセル
ゾーイ・ベル
ロザリオ・ドーソン
ヴァネッサ・フェルリト
ターミア・ボワチエ
製作年度
2007年
製作国・地域
アメリカ
上映時間
113分
原題
Quentin Tarantino's Death Proof
公式サイト
http://www.grindhousemovie.jp/

ブラボー…おお…ブラボー! 最初ブラボタンにしようと思ったけど、なんかやらしいからやめたんだぜ

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