2007UJ09月号SBR感想 『#29 ウェカピポのやり方』

| 2007.08.30 (Thu) 5:42 PM | [SBR感想, [荒木IZM] | ←前■TOP■次→ |

「黄金の回転」を拒絶する氷の世界で
奪われゆく勝算――!!

 

前号まで
「氷の海峡」を渡ろうとするジャイロたちの前に、2人の刺客が現れた!その一人は、ジャイロの祖国の元王族護衛官・ウェカピポだった。ジャイロとは異なる「鉄球」の能力を操り、ツェペリ一族の鉄球を知り尽くした男を相手に、勝算はあるのか…!?

冒頭は「戦いの中、よぎる過去」。ジャイロの医療ミスが確定的となっている場面からです。階段から落ちた怪我で運ばれた女性(認識はないけどウェカピポの妹)を担当し、その怪我の原因となった視神経の治療までを行おうとしたジャイロでしたが、その結果は失敗。やかんの蒸気が偶然噴出して手元が狂うという、何らかの力が働いたかのような出来事が発生し、そのせいで黄金の回転は失敗、女性が光を見る事はなくなったのでした。失敗を憤慨するジャイロですが、こんな有様を(見えないとはいえ)患者の目の前でするのはどうなんでしょうか。多分女性には視力が戻る可能性があった事を知らせてないからなのだろうけど、ここまであからさまに失敗した!ってリアクションは、患者にあらぬ不安を与えてしまいそうです。

しかしここで問題なのは、治療の結果を受け止める患者と医師の意識の差ですよ。この意識の差がどこから来ているかというと、視神経の治療を行った事を知ってるか知ってないかです。患者は意識不明だったし他に身寄りもいないから現場の判断で処置したというのは問題ないように見えますが、それはその措置がその時絶対に必要だったかどうかがポイントになります。つまりどういう事かというと、ぶっちゃけ視神経の治療は後でも良かったんじゃあないかって事。怪我が治ってから「オレなら治せるんだけど、やる?」って聞けば一番良かったんじゃあないか。今風に言えば、視神経の手術に関してのインフォームド・コンセントが成り立ってないんですね、。裏事情として、彼女は元々父の患者なのでそんな事を後で伝えたら今まで治療できるのにやってなかった事が明るみに出てしまうとか、治療するのは父がいない今しかないとか、そういった意識が働いたのかもしれませんが、どっちにしても独断であった事は揺るぎようのない事実。悩むジャイロ。それを冷ややかに見つめるグレゴリオ。いいのかこれで?!

しかしこのツェペリ医院、スゴ腕なんだけど使命だなんだとのたまってそれを十分に駆使しない院長と、父を意識しすぎて独断に走りがちな息子、あまり行きたくない病院である。

そんなジョークは置いておいて、以前にも言ったように常人を超えた技術を持つ者っていうのは、なんつーかこう、未来人みたいな意識なのかなと思いました。どうにか出来る力はあるけど、それを行使するのは運命や未来を動かす行為。だから禁則事項death☆、みたいな。そういう見方でもしないとグレゴリオがものすごく怠慢というかやる気ない人に見えてきて困る。全てを達観したスゴい人、とも取れるけど、全てを諦めた会社人みたいにも見えるのです。喩えも感じ方も僕の偏見だけども。

ネットに弾かれたボールはどちら側に落ちるのか誰にもわからない。しかし実際、そのボールに干渉できる立場にあった場合、どう動くかがポイントなのです、という事を描きたいんだろうなー善悪関係なしに。

ところ変わってマキナック海峡。黄金の回転の失敗繋がりでシーンチェンジ!巧いなあやっぱし。ウェカピポの鉄球にジャイロの鉄球が叩き落された場面です。敵の攻撃はさらに続き、滞空する鉄球から衛星が射出!花火のようで美しい!それを爪弾の弾幕で防ぐジョニィ。さりげなく一発ジャイロに向けて撃たれているような気がします。本家のクセに、何失敗してやがんだテメーッ!という思惑があったかどうかはわかりません。


あれ、ジャイロ一発喰らってる?


そのスキに動き出すシルクハットの男・マジェントマジェント。(壊れたはずの)ショットガンを拾って狙撃(シュートヒム)!しかしその標的はジャイロたちではなく、近くの氷の影にいた小狼。何にも悪くないのに遺体を持っているというだけで散弾の雨を喰らってご臨終です。合掌。

マジェントの謎の行動に戸惑うジョニィ。しかしまだ衛星が残っていたァーッ!迫りくる2発の衛星。1発は爪弾で対処するもここで弾切れ。ジョニィに迫る最後の衛星。それを遮ったのはジャイロの右腕でした!イカすぜジャイロ。さっき嫌がらせでオレに向けて撃たなければ弾数足りてたなんて事、ちぃ~~とも気にしてないぜと言わんばかりです。しかしこれでジャイロは両腕を負傷してしまいました。ジョニィの爪弾も弾数0で再装填に数十秒。すごいよウェカピポ。敵の力の根源から発動スキル、果ては目的までをしっかりと押さえた戦術を採り、磐石の体勢を整えました。そこで左側失調の開始ですよ。「見え」ないではなく、「認識」できないこの恐怖。この絶対的有利!楽しいねェェェ~と思っていたかどうかわかりませんが、マジェントが拳銃で攻撃動作に入ります。と、ここでジャイロはマジェントが爪弾や鉄球を受け流した際にできた痕跡を頼りに鉄球で反撃!


マジェント:「何だよ!!こっち来るぞッ!おい………」


アセり過ぎだマジェントw。おめェーピストル持ってるんだろうがよォー。さっさと撃てばいいだろうーがよォー。しかし鉄球はマジェントの肩を掠め、肉をえぐっただけに終わりました。いいカンしてるぜジャイロ。


どういう災難だッ!ってスゴくスキ。「デス・プルーフ」のラッセルおやじに吐かせたい台詞。


うわぁーッ!マジェントが三下のような台詞を吐き始めました!こういう台詞を吐いた後、大抵の敵はお亡くなりになります。これはマジェント、死亡フラグ立ったくさいよ。

マジェントの反撃の銃弾を腹に受けたジャイロ。しかしこれは反撃の布石でした。受けた銃弾を第三の鉄球として撃ち返す目論見です。一方、銃弾が命中してこれぞ好機とばかりに血気逸るマジェント。「くたばりやがれーーーッ」とか言っちゃってて、もうダメだコイツと思いましたよ。しかし!コイツの相棒はMr.謙虚マンことウェカピポですよ。


ウェカピポ:「おい マジェント!謙虚にふるまえッ!」
ウェカピポ:「おまえ用心してるんだろうな?」
ウェカピポ:「……………今、ジャイロに撃ち込んだ『弾丸』の事だッ!」
ウェカピポ:「ツェペリ一族は処刑人だが医者でもあるッ」

ウェカピポ:「おそらくワザと撃たせた」
ウェカピポ:「今の『弾丸』!『鉄球』がわりに撃ち返されるぞ」



こ、この人はすごいなw。まあ流れ的にはマジェント死亡の雰囲気がビシビシとあったので察知は出来るけど、ツェペリは医者だから銃弾をわざと撃たせてそれを反撃の手段に使うなんて発想は普通出来ないよ。この人は全ての事柄が有利不利のポイントで見えてるんじゃあないか。銃弾での傷・不利+5、体内の弾丸・有利+1という具合に。敵の有利ポイントが0にならないと襲ってこないタイプにしても程があるよ。こういう敵には、死せる孔明的なトラップが有効かもしれない。
それにしても、ジョジョの世界では医者という職種は人体を自在に操るスキルが付加されるみたいですね。ホラ、チョコラータとかスゴかったし。重要な部位を傷つけずに自分の体をバラバラに、って脊椎見えてんよ??ゲームでもキモかったよ実際。

ウェカピポのこの一言で両者同時に動く!しかしウェカピポのアドバイスを受けたマジェントのガードが一瞬早いッ!


ウェカピポ:「よし…それでいい………」


策士だよ、策士・ウェカピポですよ。こんな策士、ウェカピポだけだと信じたい。王族護衛官がみなこうだったなら、ちょっと怖過ぎる。もし王族護衛官が皆このレベルと仮定したなら、ボンボンとやったあの「決闘」の意味がなんとなく分かってきた。あれはきっと、「策」を弄しないまったくのガチンコ勝負という意味だったんですね。という事はあのボンボンもこれほどの知略を有していたという事になり、今更ながらその死が惜しまれます。外道だったけど。

ウェカピポの戒めにより反撃をいなしたマジェント。最後の一矢をやり過ごした安心感からか、落ちてる鉄球を拾っても構わないぜと軽口を叩いて余裕ムードを漂わせます。これを見て軍師ウェカピポはムダ口を叩かずさっさと始末するように叱責します。「およっ!」とか言ってんじゃねえぜと。

司令塔に言われたので最後に一言言って止めを刺そうとしたマジェント。しかしウェカピポが見抜いた通り、最後のひと会話が余計でした!

天空から降り注ぐ弾丸!マジェントの左顔面を貫き足元で回転する弾丸が。先ほどの弾丸はガード後上空に舞い上がり、その後落下してマジェントに命中したのでした。やっぱりフラグ立ってたか…(笑。今回は再三の死亡フラグをウェカピポが随時修正してたのだけど、それも最後は間に合いませんでした。初撃がガードされた状況も想定してのジャイロの一矢。会話で時間を稼ぐあたり、ジャイロも相当策士です。会話の内容も、何気に自分らにも有益でしかも相手の気を引くものだったし。でもま、マジェントなら一発芸の見せ合いでもノッてきたと思うけどな。むしろそっちのが効果的だったかもしれない。でも、動き回るネタを持ってたら狙いが外れるから困るな。そこまで考えて遺体ネタだったのかも。深いぜw。


それにしても死に様には毎回気合が感じられます、SBR。少年ジャンプでは出来ない事をガンガンやってます。少年誌だったら絶対眼球落ちてないよコレ。素晴らしいですねウルトラジャンプ。


リアル且つホラー要素満載で人体の破壊描写にチャレンジ。


話は逸れますが、7月号のアンケプレゼントが当たりました。これで3回目。いずれもトレーディングカードの時のみですが、嬉しい限りです。そのうちサイン入りが当たらないかなー。

話戻って、細かいネタ。落ちてくる弾丸に当たって死亡ってあり得るのかという話。これと似たケースを以前に「怪しい伝説」という番組で「エンパイヤステートビルから落とした1セントコインで、人を殺せるか?」という検証で見た事があります。結果は「BUSTERD(嘘)」だったわけですが、今回のジャイロの弾丸は、ブツが弾頭であった事、そして回転が掛かっていた事で殺傷力を持ったのだと思います。


9月頭にはコミックス13巻も発売します。表紙カバーはなんと半裸のルーシーたん!彼女、14歳の中学生なんですけどいいんでしょーか!?

次号はついにウェカピポ自らが動くッ!策士は単独ではどんな戦闘をするのか?!期待を胸に、To be contiued…!

出典) 『STEEL BALL RUN』 荒木飛呂彦/ウルトラジャンプ・集英社

ブラボー…おお…ブラボー! 最初ブラボタンにしようと思ったけど、なんかやらしいからやめたんだぜ

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