2007UJ08月号SBR感想 『#28 氷の世界』

| 2007.07.29 (Sun) 5:08 PM | [SBR感想, [荒木IZM] | ←前■TOP■次→ |

 ウェカピポが操る、鉄球の謎とは…!?

 

前号まで
「氷の海峡」を渡ろうとするジャイロたちの前に、新たな2人の刺客が現れた!狼狽する二人に向かって、刺客の一人・ウェカピポの「鉄球」による先制攻撃が炸裂!ジャイロと異なる鉄球を使う、ウェカピポの能力とは、一体…!?

マキナック海峡にてウェカピポら刺客と対峙していたはずのジョニィ&ジャイロでしたが、今回の物語はジャイロの回想シーンからスタートです。場面はジャイロと母が祖国にて患者の治療にあたっているところ。そういえばツェペリ家の表向きの職業は医者でした。イグゼキューショナーという面も持つツェペリ医院、安楽死に関してはものすごく信頼がおけそうです。

 
各種医療器具にお湯


そして鉄球。その不自然さが神秘を醸す。

 

そのツェペリ医院に運ばれてきた女性が一人。労働中に石段から転落して負傷した患者(なんかZARDを彷彿とさせますね。合掌。)で、視神経に損傷があるとのこと。ジャイロは鉄球の振動を水面に映すことでそれをスキャンします。今さらですけど、なんでもありです。黄金長方形は無限のパワーなんです。

ジャイロによると、この女性は父・グレゴリオの患者だそうで、今回の事故の原因ともなった視神経の損傷を何故治療しないのか疑問を持ちます。鉄球の回転を以ってすれば、その回転で針を動かし治療する事ができるかもしれないのに、と。しかしそれを諌める母。この患者は階段からの転落による負傷で運ばれてきたのだから、それ以外の事に関知するのはいけないとジャイロを正します。またも感傷に対する意識。確かに医者も処刑人も情が移ってはいけない職種と思いますが、治せるかもしれないのにそれをしないのは納得がいかないぜ、とばかりに鉄球による治療を断行するジャイロ。この人の運命を変えるんだ、オレならば出来る!と思ったのかはわかりませんが、治療へ入ろうとした瞬間、さっきのナベから蒸気がー!

ええ!?医療ミス!!?しかも未だかつてない形での医療ミスです。蒸気噴出で手元が狂うってwww。まあ失敗したかどうかはわかんないのですが、ウェカピポの妹は事故で亡くなったという要素を考えると、ひょっとすると妹の死の原因はジャイロなのかもしれません。まあ、多分同一人物でOKだと思いますが、名前が一切出てきていないので、ひょっとすると離婚のゴタゴタで決闘した護衛官の兄と、目が見えない妹の兄妹が他にもいるのかもしれません。ここまできて別人だったら笑えますけども。

 

そんな過去のエピソードがあって、場面はマキナック海峡。半分になったジョニィがパニクってます。それに反して落ち着いているのがジャイロ。やはりその落ち着きには理由があって、彼はこの効果がどういうものかを知っていたのでした。その名も


『左半身失調』



「左」?何?左半身が何だって!?

こんなジョニィのようなリアクションを取るのも当然です。この異常事態に、しれっとそんな病名みたいな事言われても!

ジャイロによると、これは王族護衛官の戦闘技術で、メインウェポンの鉄球が阻止されてもその後から「衛星」と呼ばれる小鉄球が射出、さらにそれが避けられてもその「衝撃波」で「左半身失調」がもたらされるという三段構えの鉄球の能力、その名も「WRECKING・BALL」「砕けゆく鉄球」という能力だそうです。鉄球も砕けるし、世界も砕ける、そして敵の目的も砕く技術というオサレなネーミングですね。それにしてもスゲーですよ王族護衛官!先月アッサリ死んだボンボンが急にスゴく思えてきました。

さて、この左半身失調とは、鉄球の衝撃波により、自分から見て左半分が全て認識出来なくなる症状の事で、その効果は視覚に止まらず触覚、聴覚に至るまで全ての感覚が認識出来なくなるというとんでもないもの。脳へと作用する感覚操作の能力、脳が認識している世界が全てと思い込んでいる我々にとっては現実味のない世界ですね。普通、脳が「ない」と認識したら、それは「ない」事になるんですからね。ムズかしい。

この「左半身失調」は恐るべき能力ですが、効果は数十秒ほどで自然回復するもので命に関わる問題ではありません。だがしかし、今問題なのはその認識できない左側の世界から接近してくる「もう一人の敵」!この戦闘方法を知るジャイロは、ジョニィlに攻略方法を伝えます。その方法とは、「左」がダメなのだから「右」へ「右」へと視界を移す事。とにかく右へと視界を移しながら一周して左方向を認識しろと言うのです。言われたとおり右旋回で死角を見るジョニィ。すると、空のソリと降りて銃を取り出しているマジェント・マジェントの姿がァーッ!あぶなァーいッ!

タスクで反撃するジョニィ。ここは出し惜しみせず、右手の爪弾を全弾発射です。するとマジェント・マジェントの背後からヴィジョンが出現!(ギャアアーーアスッ!)。こんな風にデザインがバリバリ出てくるのはSBRでは少々珍しい。で、出したはいいけど、タスクはそのまましゃがみこんだマジェント・マジェントに全弾命中。ボコボコに被弾するマジェント・マジェント。それを冷ややかに見守るウェカピポ。ウェカピポはボソリと「砕けゆく鉄球」を知っていた事にコメントを残しますが、相棒の事は全然心配してない様子です。左半身失調から回復したジャイロは、先ほどのマジェント・マジェントのショットガン攻撃で左腕を負傷していました。攻撃を受けた事さえも認識できない「砕けゆく鉄球」、恐るべしです。残った右手で鉄球をスロー!まったりしているマジェント・マジェントの顔面を吹っ飛ばしますが、その衝撃は氷原を伝わって逃げていきました。どうやらそのスーツのようなビジョンを纏っている間は全ての物理攻撃を受け付けない効果があるようです。動いてこないけど、これじゃどうしようもない。だるまさんが転んだみたいだ。いや、マリオのテレサか?ともあれ、彼らはこうやって絶対防御を敷きながら左半身失調を機に攻め込んでくるスタイルのようです。まるでマスタートンベリのような戦術ですね、なんとなく。


いつ次の砕けゆく鉄球が来るかわからない、このにじり寄ってくる恐怖!ジョニィはモサモサのハーブをむさぼりながらジャイロと作戦会議。敵が襲ってくるのは、彼らがすでに次の遺体のありかを知っているからだと推測。その推測は的中していて、イレブンマンズの男がジョニィから遺体を受け取る際に地面に一瞬浮かんだ地図を見ていたのでした。しかも、狼の絵というさらなるヒントを表して。それを知っていたウェカピポは次の遺体はずっとジョニィらを付けまわしている子狼が持っていると判断したのでした。そんな重要な役割を持ってたのね!


うなだれる相棒は無視。

遺体の位置を確信し、次の、いや最後の攻撃に移ろうとするウェカピポ。ジョニィの爪も回復し全面対決の様相です。しかしそこでジョニィがジャイロ先生に質問です。さっき一瞬遅れたのは、いつも見ている馬のたてがみとか、木の枝や葉っぱがここにはないので黄金の回転が正確に回せなかったからだと。この場所でジャイロはどうやって回しているのか、回転初心者のジョニィはそれを質問したのです。

その答えを聞く間もなく、ウェカピポから放たれた鉄球!しかも2発!片手ながら2発投擲してこれを迎え撃ったジャイロでしたが、なんとジャイロの鉄球は氷原へ叩き落されてしまいました。そう、これこそが、ウェカピポのツェペリの鉄球に対する対抗策でありました。

己を知り敵を知らば百戦危うからず



「生命」と「自然」への深い洞察から生まれる「黄金長方形」の無限の回転パワーに対抗するには、その黄金のスケールを排除する事こそが肝要だったのです。それでこその氷の世界での戦い。


 さりげなくジョジョ立つウェカピポ。

弱体化を図った完璧な作戦と、確実ににじり寄ってくる恐怖(マジェント・マジェントの銃はぶっ壊れたんですが)で完全に追い詰められたジャイロ&ジョニィ!次号どうなる?!ToBeContinued…!

 

 

今回もまた良い展開を見させてもらいました!この「打つ手無し」感は、ものすごく追い詰められた感じがしてたまりませんね!無敵を誇ったツェペリの鉄球が、よくわからないパワーにゴリ負けたのではなく、「ジャイロの負傷」に「黄金長方形の無限のパワーの喪失」という明確な理由によって敗北したという展開が素晴らしい。これを解決するには、なんらかの理由付けされたパワーアップが必要になり、それが実に楽しみです。一番簡単そうなのは、実は氷原と言えども自然の一部なので黄金のスケールはあるんですよ、という展開でしょうが、さてどうなるでしょうか。

他にも今回はいろんなエピソードが出てきましたね。ツッコミを入れるならば、やはり「左半身失調」。スゲー技術が出てきたものだと思いましたが、よくよく考えればツッコみどころは多そうです。その最たるものをあげると、何を以って「左」としているのか、ですね。キャラクターや物象単位では左側が欠けています。山も左が欠けていた。一方で、左側に回りこんだマジェント・マジェントは丸ごと認識できないという事になりました。何を基準にして「左」であるのかが気になるところです。が、まあノリで読んでいった方がいいですねきっと。そういう事が気にならない緊迫感で描かれていますしー。

あと、「WRACKING・BALL(砕けゆく鉄球)」でしょうか。ベネボタンでご指摘があったものでBBSにも書いた事ですが、あの衛星は果たして使いどころがあるのか?という疑問。あの衛星は鉄球VS鉄球という図式で初めて効果を発揮するものなので、果たしてそんなに活躍の場面があったのかどうかは確かに疑問です。これに対し指摘をくれた越後屋さんは、「王族護衛官と言う職業柄、一対他の戦闘を意識して付けたのではないか」という仮説を立ててくれました。的確なご意見、素晴らしい。
しかし僕は思いました。そのような技術が発達していったからには何か理由があると。。。そう!実はネアポリス王国では鉄球は特別な技術ではなく、誰も彼もが鉄球をくるくる回しているのです!勿論、砕けゆく鉄球やツェペリの鉄球はその中でも特別なものですが、鉄球を使う事はごくごく日常的なのです。だから護衛官としてはそれを前提とした対策を練らねばならなかったのではないでしょうか。誰も彼もがシュルルと鉄球を回し、ファンキーな髪型が世間に浸透している国、それがネアポリス王国!王様を見てみたい!デローヴォⅢ世万歳!

守る対象がこれ(イメージ)だから軍事的警備担当の国王は…

とまあ少々脱線しましたが、鉄球対決の描写そのものにはあまり理由などはなく、演出に力を注いだ結果でしょう。鉄球が空中で衝突する構図は燃えるものがありますし、そこから衛星が射出されるのもカッコ良かった。更に今回は衝撃波。この隙の無さが素晴らしい。あ、ちなみにあの衝撃波も護衛官独特のものなので、きっと護衛官専用の鉄球・砕けゆく鉄球に直結した理由があるんじゃないかしら。あの衛星が付いていることで回転に変化が生まれて衝撃波が発生する仕組みなんだきっと。


そして最後に、感傷との葛藤。
グレゴリオを代表とするツェペリ一族の価値観とジャイロのそれとは、いまだ大きな隔たりがあります。グレゴリオがウェカピポの妹の視神経の傷を治さなかったのは、それがそういう運命であるからだと思っているからでしょう。なんとかする技術を持っているのにそれを行使しないのは怠慢のようにも思えますが、これは恐らく運命に対し何かをしようとすれば、あるべき姿に戻そうとする何らかの力が働くのだと知っているからなんじゃないでしょうか。どこからどこまでが運命であるかの判断がかなりムズかしいですが、多分そういう事なんだと思います。

これは、ツェペリの鉄球技術には常人ならば立ち入れない、運命に作用する力を持っている事を示唆してるんじゃないかと思います。よく、「ネットにひっかかったボール」が例えで使われますが、そのボールの行方は誰にも制御されるものではないはず。しかしそれを何とかする力を、ツェペリの鉄球は持っているんです。ただし、運命を動かすにはそれ相応の代償や反作用がある事をグレゴリオは知っている。(今回ので言えば、蒸気の噴出が反作用でウェカピポ妹の死が代償。ひょっとすると、ウェカピポが立ち塞がっているのも反作用なのかもしれない…深いZe)。それ故、力の行使には細心の注意を払うし、人の運命を変えたいと思う源となる「感傷」という感情に危機感を持っているのでしょう。ツェペリ家の訓示は、運命を変える力を行使するという立場をわきまえなくては理解できないものなのかもしれません。



おまけ。
なんか、ネットに引っかかったボールとか、回転とか、氷の世界とか聞いていると、どうしてもテニスの王子様を思い描いてしまうよ。

ブラボー…おお…ブラボー! 最初ブラボタンにしようと思ったけど、なんかやらしいからやめたんだぜ

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