劇場版 ジョジョの奇妙な冒険-ファントムブラッド- レビュー

| 2007.02.23 (Fri) 11:57 AM | [劇場版ジョジョの奇妙な冒険-ファントム・ブラッド-レビュー] | ←前■TOP■次→ |

来る2月17日(土)の公開初日に観てきましたよ、「劇場版 ジョジョの奇妙な冒険 ファントムブラッド」。

場所は渋谷アミューズCQN。メンバーはThe男爵ディーノのかがみさん、No.5さん、バラキさんと僕。公開初日という事もあってか、人が結構並んでました。最初、入場のシステムがよくわからなくて少々手間取り、あと残り4席というギリギリさでしたが座って観賞できて一安心。大画面なのはいいけれど、不特定多数の人がいる劇場はトラブルが絶えないぜ…。



そうそう、話は変わりますがこの映画は特別前売り券やパンフレットの出来栄えがとてもよいのですよ!キッチリと額に収めると素晴らしく見映えがよろしい。素晴らしい。




おかげで僕のデスク周りは自分的に蝶ステキな環境ですよ!ジョースター家&ツェペリ家のポスターも完成したし、僕の部屋はなにげにジョジョ一色です。

見えにくいけど、デスクトップもオインゴボインゴ。

これは荒木先生の絵はアートで通用すると思っているから出来る事!アートで通用しますよね?オタの部屋じゃないっすよね!?たくさんの賛同をお待ちしておりますw。



前置きはこの辺にしてレビューです。 一応あらかじめ言っておきますが、バリバリネタバレですよ!

<2/25追記>
昨日、2度目の観賞をしてきました。またまた席があまり良くなかったのですが、そのおかげで気付いた事も幾つかありました。とりあえず、リピーターキャンペーンの2回目として貰えるクリアファイルはこんなのでした。パンフレットと同じデザイン。ちょっと下のほうがヘンになってますが、これはサイズが大きくてスキャンエリアから若干はみ出してしまったせいです。

 

【あらすじ】

舞台は19世紀イギリス。貴族・ジョースター家の一人息子として生まれ、真の紳士を目指すジョナサン・ジョースターと、貧困の中で育ち何でも利用し奪ってのし上がろうとするディオ・ブランドー。そんな二人の少年は、お互いの父親の些細な接点により共に育つ事に。ぶつかり合う二人だが、やがて古代アステカ人が残した謎の石仮面を巡って、二人の運命はより数奇に絡み合っていく―。

【メインに据えられたテーマ】

この劇場版は尺が限られているため、5巻にも及ぶ原作全てをまとめきる事はとてもできません。そのため、必然的に何かを省く事になるのですが、省くには残すべき部分を決めなくてはなりません。その残された部分こそ製作側が伝えたいメインテーマ。この劇場版はそれに沿ったエピソードのみが抽出され、編集が施された作りになっています。
ジョジョには名シーンや名セリフがたくさんあり、ファンであればあるほど取捨は悩ましい作業。各々に削って欲しくないシーンはあったと思いますが、そこはメインテーマを汲み取って納得するほかはないと思います。

で、そのメインテーマ。それが何なのかという事ですが、僕が感じたのは「因縁」でした。運命という言葉に置き換えてもいいかもしれません。
この因縁は2つあって、ひとつはもちろんジョナサンとディオ。そしてもうひとつは石仮面とツェペリさんの因縁です。これを意識して見るとまとまって見えると思います。それをストーリーに沿って追っていきましょう。

まず、ディオとジョジョの運命、それはほんの些細な父親の接点から始まったものです。それがディオが養子としてジョースター家に来る事につながりました。このたった一人の人間が来る、それだけの事がジョナサンにとっては人生が大きく変わった出来事なのです。平穏だったジョジョの人生は一変。友情、信頼、恋愛。侵略者の呼び名がこれ以上なくピッタリする程、ディオはジョジョからあらゆる物を奪っていきます。しかも守ってくれるべき父親さえもが味方してくれないという悲惨さ。ぶっちゃけ、よくグレなかったなジョナサン、と思いました。
こうして確執とも言うべき因縁が少年時代に生まれました。

そしてディオとジョジョの因縁は、もうひとつの因縁でさらに大きな変化を迎えます。それが石仮面とツェペリさんの因縁でした。
ディオは悪巧みが露見した結果、自ら石仮面の力で人間ではないものに変貌し、ジョナサンは失った父親の精神とツェペリという師を得て体得した波紋法で諸悪の根源を断ち切る覚悟を身に付けます。

ディオとジョナサン、石仮面とツェペリさんという二つの因縁が混ざり合う事で、物語は一気にスケールアップ。クライマックスバトルの殆どは、石仮面の力を得たディオvs.ツェペリさんの図式で描かれているので、石仮面とツェペリさんの因縁が分かりやすかったです。あの、「とうとう会えたな!」というツェペリさんのセリフも一段と重厚さが増していたように思いますね。

そして最後はジョナサンとディオの因縁が大きくクローズアップ。船での対決シーンですが、ここで監督の伝えたかったものが因縁であると確信しましたね。何故かというと、ひそかにこの部分は原作を越えたかもと思ったからです。一番最後のディオのあのセリフをちょっと変えただけなのですが、二人の奇妙な繋がりが強調されて感じられた名シーンでした。マジ、グッときたよ。ここは素晴らしかったです。

 

ざっとまとめてみますと、原作ジョジョのテーマは「人間賛歌」。しかしそれを表現するには時間的な限界があり、限られた枠に収める事は不可能です。そこで2つの因縁にスポットを当てていったのでしょう。この観点で見れば、雑な部分もありましたが、キチンとまとめられた作品に仕上がっていたと思います。

【見どころ】

メインテーマ以外の見どころをざっと挙げてみます。ここは映像で見てスゴかったなあ!とか、色々と思った部分です。

「波紋」の波紋

原作では水面に伝わる描写でしか描かれなかった波紋。ですが、映画ではそれが美しく、且つダイナミックに描かれています。
まず冒頭、トンペティ師がツェペリさんの運命を見るために放出する波紋がスゴい。山吹色に輝き、雲を吹き飛ばすほどダイナミックな波紋。しかもよく見ると、拡がる波紋と歪む波紋の2種類で構成されています。これは映像でしか分からない部分だと思うので必見です。

「石仮面」の神秘

石仮面の見どころは二つ。ひとつは骨針のギミックです。原作では「ビンビン ビンビン」という荒木テイスト溢れる奇妙な表現でしたが、これが映画ではスマートに「ジャコッ!」って感じで伸びてきます。ディオが言うように、ホントに拷問殺人道具に見えました。なかなかカッコいいです。
そしてもうひとつは、吸血鬼化のシーン。石仮面が光に包まれるあのシーンです。輝く緑の光が美しく、神秘さがありました。これは原作のイメージぴったりですね。…っていうか、あんな鮮烈に光り輝く動的なシーンを、漫画でキッチリと表現している荒木先生がスゴすぎる。

波紋による戦闘シーン

ゲームでは空間の歪みと電気のような火花で表現していた拳からの波紋。これがちゃんと「波紋」をしていました。この「波紋」というのは冒頭にあった2種類の波紋の事で、小さいバトルでもポワンポワンと響いていたのが印象的でした。
それと思いっきり脇役になっていたタルカス&ブラフォード。ていうか、ブラフォードですが、彼の死髪舞剣はすごく動的に描かれていてカッコ良かったです。あと、この一連のバトルはタルカスの方も同時に一気に進んだのですが、流れるようにスピーディで爽快感に溢れていました。

ディオ登場!

ディオがジョースター邸に初めてくるシーン。ここは忠実に再現されてました。馬車からカバンを投げ、「シャン!」と颯爽と現われるあのシーンです。あんな登場をされて「君はディオ・ブランドーだね?」と普通に対応する自信は僕にはありません。
このシーンはカットされそうになった経緯があるそうですが、残して正解だと思います。しかし、あれでディオのカリスマ性が表現できたとしているのはどうかと思いますが。
そういえば、この後ダニーに膝蹴りを喰らわすという有名なシーンもあるんですが、映画ではダニーが向かってくるのではなく座っているという風にシチュエーションが変更されているので、カウンター気味に描かれていた原作とは違っています。普通な感じです。恐らく、あまりに鮮烈に描くと肝心のディオ登場シーンが食われてしまうからだと思います。

昼ドラも真っ青なドロドロ愛憎劇

劇場版ディオはとことん悪行を尽くします。昼ドラで誰もが思うであろう、「そこまでやるか!?」というとこまでやっちゃってます。しかもそれが大々的ではなく、なにげに細かい嫌がらせだったりするのですよ。枕に針を仕込むとか、ホントもうドロドロ。これはディオのキャラを小ずるいものにしてしまった面もありますが、昼ドラ感は倍増しましたね!

垢抜けまくったエリナ・ペンドルトン

イモっぽかった面影は一切なく、顔と眼のラインがシャープになり、どこの美少女アイドルかと思わせる劇中のエリナ。映画では時代考証がちょっと適当になっているというか現代にアレンジされていて、それはエリナの服装から如実に読み取れます。エリナ本人のキャピキャピぶりは凄まじく、「まあ!ジョジョったらいけないひとッ!」というセリフはこのエリナにはまったく似合いません。そのせいか、そのセリフは削除されてます。が、このエリナはそれはそれという事でOK!か・も。だってかわいいんだもの!

初めての相手はこのディオだッ!

ジョジョに心の砂漠を作るため、エリナの唇を奪ったディオ。登場人物を必要最小限に絞ったため友人から事の詳細を聞く事ができず、ジョジョは何が起こったのかを推測するしかありません。一方、ディオもその事がわかってますから何をしたかは絶対に言わないんですよ。「彼女、はじめてだったようだぜ」とかしか言わない。もう、このときのジョナサンの衝撃ぶりはスゴかったと思います。ローアングルから「ガーン!」て感じのシーンがそれを物語ってましたね。一応、事の直後のエリナに会っているんですがその時は何にも気付かないんですよねージョナサン。そこでディオのこのセリフです。そういえば…「泣き腫らした目」「汚れた衣服」「飛び散った胸元のペンダント」「殴られた痕のある頬」「急によそよそしくなったエリナ」。これはジョナサン、大ショックです。
ディオの心理的プレッシャーのかけ方は本当にスゴいと思いました。

【擬音の再現】

ジョジョの奇妙な冒険という漫画において、その特殊さを醸す重要な一面になっているのが、特徴的な擬音です。これがリアルな「音」として表現できる映画でどう表現されるのか。それはファンなら誰もが気になるところです。

しかし実際に映画を観てみると、イメージしていたような迫力のある音で再現されていないと感じる事でしょう。実際、僕もそう思いました。

しかしそもそも元が「擬音」なんですよね。紙に描いて表現された「音」を読んだ人がどう受け取るか。受け手に依存するわけです。しかも、それが聞いたことがあるような音ならまだしも、字面からすら想像できない音ともなるともう人によって千差万別でしょう。監督のイメージしてた音はこんなんだった、として捉えるほかないと思います。
僕のイメージですが、代表的なやつだけを書くとこんな感じでした。

ズキュウウゥン:アニメとかでよくあるレーザー砲のSEのようなイメージ。それでいて軽い感じではなく、ヘビーさを出したいところ。

URRYY:ゲームや映画での高い音のイメージはあまりない。もっと言葉としてハッキリ言っているイメージ。ただし、巻き舌は凄まじいほど鳴らす。

メメタア:出だしは下敷きを曲げる音みたいな感じかな。これは字面とはまったく違うものになってしまうかも。音を聞く→メメタアという変換が出来るサウンドを作るのは至難の業だと思われます。

【ジョジョ立ちについて】

荒木先生が彫刻の構図にリスペクトを受けて誕生した独特なポーズ。これもジョジョの奇妙な冒険の印象を強くする一因となるものだと思います。

これが映画化において如何に再現されるかを期待していた人もいるようですが、実は僕は全く気にしていませんでした。何故なら、あれは静止した絵や彫刻で動きを表現するものであり、もともと動くもので使うものじゃないと思っているからです。

事実、OVAの段階でああいったポーズは再現されていません。決めポーズならまだしも、動画でそれを表現するのはしっくりこないんでしょうね。

【削られたセリフたち】

劇場版では数々の名セリフがカットされ、憤慨しているファンも多いと思います。ですが、メインテーマから逸れたカットをムリヤリ入れてしまうとバランスが崩壊してしまいます。印象的なシーンであればあるほど、ツギハギになってしまう悪循環。尺の問題もありますし、それならば涙を飲んでカットもやむなしでしょう。それでも納得できない人もいると思います。そこで!カットされた理由を僕なりに分析してみました。

“何をするだァーッ!ゆるさんッ!”

これは、誤植ながらジョジョのイナカっぽさと激しい怒りの度合いを見事に表現しているセリフでした。しかし所詮誤植なので修正されるのは仕方ありません。原作でも修正されているので、原作通りといえば原作通りです。
しかし、「ゆるさん!」は言ってない!言って欲しい!という人もいるかもしれません。これは劇中のジョナサンが、爆発するまでは気の優しい昼ドラ主人公として描かれており、ここで激情を顕わにするのは自然ではないからでしょう。

“故意だ!わざとだ!なぜこんなことを!”

ボクシングシーンが丸ごとカット対象になっているので致し方ありません。しかし、眼の中に親指を突っ込むシーンの代用があの「枕に針」だと思われるので、代用の意図を伝えるためにもそこでこのセリフを使って欲しかった気持ちもあります。不自然ですけどねw。

“おれたちにできない事を平然とやってのけるッ そこにシビれる!あこがれるゥ!”

平然とやってのける瞬間に友人がいなかったのだから出せるわけもありませんw。友人を出さなかったのはあまり関係ない人物を出したくなかったという理由もあるでしょうが、きっとディオが誰かとつるんでいるようなキャラにしたくなかったんだと思います。
若しくは、唯一このシーンを目撃することになる対象、そう私たち観客に言わせたいという狙いがあったのかも。

“君がッ 泣くまで 殴るのをやめないッ!”

これがなかったのはある意味自然かもしれません。何故なら、この後ディオはスグに号泣しているからです。アニメになると展開がスピーディーなのでこれを言わせてしまうと、「あれ、もう泣いてるじゃん、やめないとダメだよ」ってなってしまいますから。

“このきたならしい阿呆がァーッ!!”

これがカットされていたのもある意味良心かも。このアニメの流れでこのセリフを言わせると、ディオがものすごくよわっちく見えてしまいます。ただ、この涙はプライドが傷つけられた事による部分が大きいので、言わせた方がディオの気高さが表現できたかもしれません。危険な賭けですが。

“こいつはくせえッー!ゲロ以下のにおいがプンプンするぜッーッ!!”

スピードワゴンが出ないのでどうしようもありません。彼以外にディオにこんな事言えるキャラはいませんから。

“わしは20年前のあのあとのジョースター卿の言動に涙するッ!”

サツのだんなの回想シーンがありません。今回の映画はディオとジョナサンのみにクローズアップされており、父親の因縁のエピソードはダリオ、ジョージ、ともに削除されているので仕方ないですかね。

“警察のだんな窓から離れろーッ!”

スピードワゴンがいないので以下略。ちなみに彼がディオの死体がない事に気づき、その後原作と同様になります。

“スピードワゴンはクールに去るぜ”

スピードワゴンがいな以下略。ちなみに、劇場版でクールに去るのはワンチェンだったりします。

“なっ!?座ったままの姿勢!膝だけであんな跳躍を!何者!?”

ツェペリさんの登場シーンは一新されているのでこのカットもありません。ツェペリさんはかなり変人テイストが抑えられた描写になっています(というか、この膝跳躍登場が変人キャラに決定付けてたといえるかもw)。吸血鬼ディオとのバトルも殆どツェペリさんとの闘いだし、劇場版のツェペリさんはかなり強く、カッコ良いキャラになってますよ!

“人間讃歌は「勇気」の讃歌ッ!人間のすばらしさは勇気のすばらしさ!!”

ジョジョのテーマを体現するセリフですが、これもカット。その理由はテーマが人間讃歌ではないからだと思います。というか、2つの因縁という形で人間讃歌を描いているのですが、劇場版の尺ではその壮大さが表現できないから敢えて控えたのではないかと思っています。根源的には揺るぎのないテーマとして据えてあるのは確かですが、ここは敢えて的な演出という事で。

“おまえは今までに食ったパンの枚数を覚えているのか?”

通称「おまパン」。そんな通称が出来るほどジョジョにおいて有名なセリフです。そんなセリフがなかった。それは何故か。それは劇中の時間軸の問題からだと思います。
原作ではジョジョの治療も済み、波紋修行も終盤に差し掛かったあたりでワンチェンが登場しました。しかし劇場版では館からジョナサンを助け出したのはツェペリさんという流れになっており、その後のディオの動向を知りながらもそのままジョナサンの修行をしているので、この流れで「きさまーいったい何人の生命をその傷のために吸い取った!?」とか言われたら、ディオはきっと、「いや、俺待ってたけどなかなか来ないからさー。おなかすくじゃん、やっぱし。」と返したくなると思うのです。ディオに言わせれば、犠牲者を出すのがイヤなら、事前にワンチェンに伝えさせてあるんだから早く来いよという話ですよ。
映画の尺の問題と展開をよどみないものにするために変更した結果、シチュエーション的に挟めないシーンになってしまったのではないでしょうか。

そもそも「治癒のためにたくさんの生命を吸い取った」という設定自体が消滅している(特に説明されていない)ので、挿入するには難しいシーンだったと言えるでしょう。

“当たる面積を最小にして波紋防御!”

タルカスとのバトルが超縮小されているので仕方ないですね。ひょっとしたら、ポーズくらいはどっかのシーンでやってるかもしれません。未確認です。でもないだろうなあw。

“あしたっていまさ!”

ポコが出てこないのでありえませんね。ゲームではものすごい扱いでしたけどね、ポコは。超怖かった。

“神よ あんたはこのおれをくせー所へやるのがお好きなようだ…”

スティクス神父がカケラも出てこないのしょーがないっす。え?そもそも有名なセリフじゃあないだって?
有名にしましょう。

“肉体(ボディ)… …来たか…”

劇場版では「肉体(ボディ)…」という言葉は削除されてました。これはジョナサンとの絆をより強くためだと思います。「肉体(ボディ)…」という言葉を入れると、カラダのみが目的のようにも映りますから。ジョジョに対するディオのリスペクトの念と、奇妙な友情を強調するためにカットしたのだと感じました。

【はしょられた設定】

全てに影響している尺の問題。それは設定解説にモロに響いてきてました。まあ、確かにいちいち説明されるのもウザいので、映画という事を考えれば「ノリで理解しろ!」て感じもアリかもしれません。
とりあえず、初見の人だと戸惑うんじゃないかって箇所をピックアップしてみました。

追記) そうか、スピードワゴンがいない時点で解説役がいないんだ。解説役って重要ですね。ふと思ったけど、画面には登場しないけど解説役でスピードワゴンを使うなんてアイデア、どうですかね?肘掛にイヤホン差して聞くんですよ。美術館とかであるじゃないですか、そういうの。え?映画に集中できないだって?ウイ、ごもっとも。

屍生人の設定

吸血鬼になった特性は、ディオが人体実験を行うシーンで表現されてます。力が強くなったり、血を吸ったり、太陽の光に弱いという特性ですね。
しかし屍生人に関しては、まったく、これっぽっちも触れられていない。ウインドナイツロットに行ったらたくさんいましたって感じです。ディオに血を吸われたからなったというシーンのひとつでもあれば良かったかも。ジョースター邸での闘いでは屍生人は発生しなかったし。
唯一、ジョナサンが血管をコリコリされるシーンでディオが初めて言及するのですが、これはちょっと遅すぎるんじゃ、って思いました。

<2/25追記>
屍生人の説明はツェペリさんがちゃんと解説してくれてました。スミマセン(´Д`lll)

気化冷凍法

吸血鬼であるDIO様が、波紋使いを2人も相手にしながら「貧弱、貧弱ゥゥ!」と吐き捨てられる理由となる能力であるはずの「気化冷凍法」。これの説明の一切ナッスゥインでした。原理や…理屈など…どうでもよいのだァーッって感じで一切合切無し。これはどうなの?とは思いましたが、この映画のDIOが使う技は気化冷凍法の能力を超えた氷系の魔法レベルなので、説明など付けられないのかもしれません。それくらいスゲェ技でした。ペットショップのレベルです。これはノリで理解するしかない!そういう作りでした。つまり映画の吸血鬼DIOは氷雪系魔法が使用可能という設定なのです、きっと。

スペースリバースティンギーアイズ

この技名は2部でストレイツォが命名するのでどーでもよい事なのですが、原理にはまったく触れられていません。知らない人はきっと、「吸血鬼は眼からビームが出せる」と思った事でしょう。これも細かい理屈は考えず、映画設定ではそういう事なのだという理解をしましょう。

【こだわりが感じられたシーン】

数々のシーンを端折りながらも、がんばって残されたシーンはこだわりを持って作りこまれた印象を受けました。それらのシーンをざっと挙げます。

ツェペリさんの運命

冒頭でダイナミックに描かれるツェペリさんの運命と未来。石仮面との宿命の図式と新たな未来を受け継ぐジョナサンとの因縁を示唆しているわけですが、これを最初に持ってきてしかもじっくり描いた事により、二つの因縁の交わりが自然になったと思います。あと、映像としても普通にスゴいので注目のシーンですね。

ディオ登場シーン

見どころでも挙げたのでコメントは割愛しますが、ここにはだわりが感じられました。ちなみに劇場で発売されているパンフレットに、このシーンに関する監督のコメントが記載されています。買った方は是非参考に。

メメタア

波紋法の真髄を伝えた事で有名なあのシーン。一応再現されています。一応、とするのは波紋法のスゴさをジョナサンに伝えてないから。だってジョナサン、見てないですからね!自分の修行してますからね!ツェペリさんのいる場所とは高低差があるので、きっとカエルがいたことにも気付いてないですよ。
それでもカットを免れたという事にこだわりが感じられました。それにツェペリさんの描く波紋の軌跡も美しかったので良しとしましょう。僕だったら、あの前後を考えるならば、カエルは省いたかもしれませんけど。
なんつーか、おめーらこれが見たいんだろ?的な感じというか、観客の要望に応えるための妙なこだわりが感じられました。あってもいいんですが、別になくても良かった気がします。なかったらないで騒がれるでしょうが、僕はこれが入っていた事で、こういったみんなが見たいクセの強いシーンばかりをやってると、そのインパクトゆえにダイジェスト臭が強くなるな、と思いました。完全にサービスカットだったのだと僕は思います。

血管コリコリ

このシーンが残っていたのには驚いた人もいるんじゃあないでしょうか。僕は結構驚きました、これ使うか!って。
しかし、これはクライマックスにも関連した「奇妙な友情」を如実に表現しているのかもしれません。
血管が血管ぽくなかったのは、規制か何かなんでしょかね?温かさがなく、心地良い弾力が伝わってこなかったのは残念!

波紋入りのバラ

ダイアーさんは出てきません。しかしこのシーンはどうしても!という監督の思いでしょうか、波紋入りのバラはツェペリさんが投げました!
決戦に出る前にバラを胸ポケットに挿した時点で「ひょっとしたら」と思いましたが、やっぱりやってくれました。ダイアーさんが投げたバラとは違った意味合いでしたが、「一矢報いる」というニュアンスは同じでした。うん、そのニュアンスが大事。

【声優について】

キャラクターの声というのはアニメ化をするにあたって初めて入ってくるファクター。それまで各々がイメージしているキャラの声に合致するか合致しないか、それはその人が持っているイメージの崩壊に直結する程の重要なファクターでもあります。
ジョジョは事前にゲーム化もされているので、ゲームでの声イメージが印象強い人も多いでしょう。かくいう僕もその一人でした。ゲームと同じ声優さんが混在しているだけに、ゲームと映画を別々に区切るのは難しかったですよ。

ゲームと違う声なのは、まずジョナサン。ジョナサンは別にそれほど違和感はありませんでした。ジョナサンの声は平均的というか特に凝り固まったイメージがないので、結構何でも受け入れられそうです。

エリナは原作のエリナの声とはリンクできませんでした。でも映画のキャラはとてもキャピキャピなので、それには非常にマッチしてたと思います。

で、問題なのが、やはりゲスト声優であるスピードワゴンです。中でもワンチェン役の井戸田さん。原作のファンである小沢さんは気合が入っていたというか、しわがれ声が役のダリオにマッチしてて良かったんですが、井戸田さんは何て言ったらいいか。例えて言うなら、カタコトの日本語しか喋れないアメリカ人がアルアル語を喋っていると言いましょうか。分かりやすく言うと、欧米イントネーションの日本語で、中国語イントネーションの日本語を喋ろうとしている感じ?これならゲームの中国拳法家の人の方が良かったですよ。あれも相当ブッ飛んでたけどもw。

【音楽・SEのこと】

サウンドは全く以って素晴らしい。ドラマティックな演出音楽がまるで劇画な数々のシーンを盛り上げてます。

一番気に入ったのは、「エリナのテーマ」。ソロピアノから入るその調べは、可憐さとか清楚さが感じられて実にナイスです。エリナが登場するシーンでヒットするのですが、シーンごとにアレンジも施されているようで、それがまた良かったです。

SEもさすがスカイウォーカー・サウンド。細かい事はよくわかんないすけど、ヘンなところはなかったです。でも、細かいとこまで音が入ってる感じだったかな。
あ、そうそう!あのキスシーンの効果音は初見ではイメージと違うと思ったのですが、違う席で観た2回目で新発見が。なんとあの音はウーファーの重低音で表現されてたのです!身体に響く、「ズウゥゥゥン!」。1回目の時は席が後ろの方だったせいか、それに気付きませんでした。うーん、これは新たな発見でした。
てことは、DVDで観るときも、サラウンド設備がキモって事ですな。

劇中の音関係以外の話。とくれば、もちろんエンディングテーマです。そう、SOLD'd OUTの「VOODOO KINGDOM」。これはCMでも少しだけ聞いていたんですけど、通して聞いてものすげく気に入りました!映画にもマッチしてるし、ビートもいいし、これはサントラが楽しみです!ただ、歌詞は全くわかりません。しかし、だからこそSOLD'd OUTは荒木先生に受け入れられるのでしょう。荒木先生は「日本の音楽は歌詞が解るから全く聴かない」らしいですし?

【監督に ちょっとひと言よろしいかしら?】

羽山淳一監督はもともと作画担当の人で、ジョジョのOVAではその分野を担当していました。その人が今回は監督・キャラクターデザイン・総作画監督までもを兼業します。これが初監督作品という事で色々な苦労があったと思いますが、限られた時間の中で監督なりにうまくまとめられたんじゃないかと思います。見どころは?と聞かれて、「全体のバランスに気をつけたので全部ですね」と答えているとおり、バランスに気を配った事が窺えました。作画から来た人なのに、シーンを挙げなかったのはそれほど気を配ったからでしょう。本領である作画についてはOVAを観ている人なら期待通りだったと思います。

ただケチを付けるならば演出でしょうか。シーンとセリフの咬み具合で「ん?」と思うところが何箇所かありました。ひとつを挙げると、ディオが薬に毒を混入している所をジョナサンに目撃されたシーン。二人のアップのあと、カメラが引いてから「ディオ、今…その薬をどうした?」となるんですが、ここはアップのままセリフを重ねて表情に注目させた方が良かったんじゃないかと思いましたね。まったくもってエラソーな事言ってますね、僕(笑)。

【最後に】

世間的な意見を言えば、これは万人受けする映画ではないかもしれません。テーマが読めないとなかなか掴みにくいし、そのテーマがジョジョファンにも一般人にも捉えにくい位置(*1)にあるかもなあ、とおぼろげに思いました。

*1:原作ファンは原作にこだわりすぎる傾向にあるし、一般人には細かな部分の説明不足が否めない印象。どっちにも配慮した作りにした(というかせざるを得なかった)ので、根幹テーマ自体が掴みにくくなったのかな。(2/23追記)

とりあえずですね、観に行く前にOVA を観る事をオススメします。ちょっとだけでいいんですよ、オープニングだけ観てください、1~7話ならどれでもいいです。そこは今回の劇場版と完全にリンクしているので、あれを観ておけばすんなりとついていけると思います。

ともあれ、愛=理解!!
愛があれば、何だって理解できるはず!

ただ、愛せよッ!!!

<2/25追記>
2度目の観賞は最初のときよりも、余裕を持って見ることが出来たと思います。この効果のせいか、1度目の時に感じた展開の速さはまったく気にならず、存分に楽しむ事が出来ました。(と言っても、ウインドナイツロットの闘いはちょびっと速いと思いましたけどもw) リピーターキャンペーンも捨てたもんじゃあないですねー。
あと、観賞後にオフィシャルムービーガイドを友人と見ていたら指摘されたんだけど、あの「ツェペリ男爵に放たれたDIOの拳をジョナサンが遮る」カットが本編では入ってなかったですね。ガイドにシーンキャプチャされてるのにないなんて!それだけカットは多かったという事でしょうか。尺については言及したくないですけど、作ったのに使われてないのはさすがにちょっぴり残念ですねェ (((´・ω・`)。

ブラボー…おお…ブラボー! 最初ブラボタンにしようと思ったけど、なんかやらしいからやめたんだぜ

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